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厚生労働省のモデル就業規則を歯科医院向けに作り変えるための完全ガイド|小規模事業でも利用可能

厚生労働省のモデル就業規則を歯科医院向けに作り替えるため労働省のモデル就業規則を歯科医院向けに作り変えるための完全ガイド

歯科医院を経営されている院長先生へ。

このページでは、厚生労働省が公開している「モデル就業規則(令和7年12月)」をベースに、歯科医院の実情に合わせてどう修正すべきかを1条ずつ解説していきます。

「自分で作ってみたい」「コストを抑えたい」という院長先生向けに、具体的なアレンジ方法と注意点をまとめました。

各条文の解説を読みながら、自院に必要な規定を検討してください。

主に歯科医院さま向けの解説となっていますが、小規模な企業さまであれば、業種業界を問わず参考にしていただける内容となっています。

モデル就業規則のダウンロードはこちら→厚生労働省「モデル就業規則(令和7年12月)」

就業規則作成を社労士に頼むのとテンプレートを使って自作するのとでは何が違う?自作と専門家作成を徹底比較

厚生労働省のモデル就業規則をカスタマイズ

第1条から順番に解説していきます。

なお、モデル就業規則を引用しているため、使用者が「会社」となっていますので、「医院」「法人」などに変更してください。

第1条 目的

  この就業規則(以下「規則」という。)は、労働基準法(以下「労基法」という。)第89条に基づき、○○株式会社の労働者の就業に関する事項を定めるものである。

2 この規則に定めた事項のほか、就業に関する事項については、労基法その他の法令の定めによる。

📖【解説】

2「この規則に定めた事項のほか(中略)、労基法その他の法令の定めによる」

この規定では、就業規則に記載がない事項については、労働基準法やその他の法律などの定めに従うとしています。

しかし、法律などには、義務だけでなく、努力義務や啓発的な規定も数多くあります。

そのような規定もすべて遵守するというのは、小規模な歯科医院にとっては大きな負担になりますので、第2項は削除することを検討します。

第2条 適用範囲

  この規則は、○○株式会社の労働者に適用する。
2 パートタイム労働者の就業に関する事項については、別に定めるところによる。
3 前項については、別に定める規則に定めのない事項は、この規則を適用する。

📖【解説】

この就業規則が、「誰」に適用されるのかを明示した条です。

自院で就業規則を作成された際によく見られるのが、
2 パートタイム労働者の就業に関する事項については、別に定めるところによる。」という規定があるのにもかかわらず、パートタイマーに関する就業規則(パートタイマー就業規則)が作成されていないケースです。

この場合、「3 前項については、別に定める規則に定めのない事項は、この規則を適用する」の規定の有る無しにかかわらず、正社員と同じ就業規則が適用されます。

休暇や手当など、正社員とパートタイマーに違いがある場合は、別規則を作成するか、就業規則内で、「第〇条はパートタイマーには適用しない。」「パートタイマーに○○手当は支給しない。」など明確に記載します。

🖋️【さらにカスタマイズ】

モデルでは、労働者の種別について詳しく定義していませんが、正社員とその他の労働者の労働条件(休暇や手当、休職制度など)に差を設ける場合は、明確に労働者の種別を定義しておくことをおすすめします。

定義例

  • 正社員:契約期間の定めなく雇用され、基幹業務に従事する者
  • 契約社員:契約期間を定めて雇用され、1週間の所定労働時間が正社員と同一である者
  • パートタイマー:契約期間を定めて雇用され、1週間の所定労働時間が正社員よりも短い者
  • 嘱託社員:正社員として雇用後、定年により、期間を定めて継続雇用された者
  • 無期転換社員:契約期間を定めて雇用された後、労働契約法第18条1項により、契約期間の定めのない雇用契約に転換した者

労働契約法第18条1項=いわゆる【無期転換5年ルール】
契約期間の定めがある雇用契約が更新されて、通算5年を超えたときに、労働者の申込みによって無期雇用契約に転換されるルール
参考:厚生労働省「無期転換ポータルサイト」

第3条 規則の遵守

会社は、この規則に定める労働条件により、労働者に就業させる義務を負う。また、労働者は、この規則を遵守しなければならない。

📖【解説】

「会社は、この規則に定める労働条件により、労働者に就業させる義務を負う。」
⇒使用者側の義務を明記することは、必ずしも必要ではないと考えます。

🖋️【さらにカスタマイズ】

一部ですが、働く人の中には、権利を本来の目的から逸脱して行使しようとする人がいます。そのような行為を防ぐために、就業規則にその旨を明記することをおすすめします。

規定例:

労働者は、この規則に基づく権利の行使にあたって、権利を濫用してはならない。

より具体的に、どのようなことが権利の濫用にあたるのかを明示することもおすすめです。

第4条 採用手続

会社は、入社を希望する者の中から選考試験を行い、これに合格した者を採用する。

📖【解説】

選考試験の種類を明記することもあります。(書類選考、筆記試験、面接試験など)

🖋️【さらにカスタマイズ】

採用選考のときに、書類などを提出してもらう場合は、書類名などを明記しておきます。

採用選考時に提出してもらう書類などの例:

  • 履歴書(3か月以内の写真貼付)
  • 職務経歴書
  • 卒業見込証明書および成績証明書(新卒採用の場合)
  • 免許等の資格が必要な職務に就かせる者については、免許証等の資格証明書の写し(歯科医師や歯科衛生士など)
  • 車両の運転を要する職務に就かせる者については、運転免許証の写しおよび運転記録証明書(過去5年)(訪問診療などで、車を運転する可能性がある場合)
  • その他医院が必要と認める書類

第5条 採用時の提出書類

 労働者として採用された者は、採用された日から〇週間以内に次の書類を提出しなければならない。
 ① 住民票記載事項証明書
 ② 自動車運転免許証の写し(ただし、自動車運転免許証を有する場合に限る。)
 ③ 資格証明書の写し(ただし、何らかの資格証明書を有する場合に限る。)
 ④ その他会社が指定するもの

2 前項の定めにより提出した書類の記載事項に変更を生じたときは、速やかに書面で会社に変更事項を届け出なければならない。

📖【解説】

採用後に提出してもらう書類について明記しています。

🖋️【さらにカスタマイズ】

モデルでは明記されていないものの、実際は提出してもらうことが多い書類をご紹介しておきます。

採用後に提出してもらう書類の例:

  • 入職時誓約書
  • 身元保証書(身元保証人の印鑑証明書を添付)
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 雇用保険被保険者証
  • 源泉徴収票(暦年内に給与所得のある者)
  • 個人番号カード(マイナンバーカード)
  • 通勤経路に関する申告書
  • マイカー通勤許可申請書
  • 通勤に自動車(自動二輪車、原動機付自転車を含む)使用することを許可された場合は、車検証等の写し、自賠責保険・任意保険の保険証書の写しなど保険内容が確認できる資料の写し)
    ※自転車通勤の場合は、自転車保険の保険内容が確認できる資料の写し

上記はあくまでも例ですが、就業規則に明記した書類をすべて提出してもらわなくてもよいケースも想定されることから、以下のような規定をしておくことが多いです。

医院の判断により一部の書類の提出を免除することがある。

また、必要な書類を期限までに提出しない、あるいは拒否するといった場合には、採用を取り消すことがある旨を規定しておきます。

医院の指定する期限までに提出がない場合は、採用を取り消すことがある。

身元保証書は、スタッフが医院に損害を与えた場合に、本人だけでなく、身元保証人にも請求できるようにするためのものです。
医院のお金に関する業務を担当するスタッフには、可能な限り提出してもらうことをおすすめします。

マイカー通勤を認めている医院さんで、運転免許証をはじめとした各種書類の提出を義務付けていないケースが非常に多いです。(規定にはあるものの、提出してもらっていない場合も含む)

スタッフさんが、交通事故の加害者となってしまった場合、医院にも責任がおよぶ可能性がありますので、定期的に免許証や保険の確認を行うことをおすすめします。

第6条 試用期間

  労働者として新たに採用した者については、採用した日から〇か月間を試用期間とする。

2 前項について、会社が特に認めたときは、試用期間を短縮し、又は設けないことがある。

3 試用期間中に労働者として不適格と認めた者は、解雇することがある。ただし、入社後14日を経過した者については、第53条第2項に定める手続によって行う。

4 試用期間は、勤続年数に通算する。

📖【解説】

あくまでも当事務所で関与させていただいた事業所さまの統計ですが、試用期間の長さは、9割近くの事業所さまが、3か月がとされています。

3の「入社後14日を経過した者については、第53条第2項に定める手続によって行う」とは?
→入社後14日以内に解雇する場合は、30日以上前の解雇予告または平均賃金の30日分の支払いが不要というものです。

解雇予告などは不要ですが、どのような理由でも解雇が相当となるわけではありません。解雇理由によっては、不当解雇となることもあるので注意が必要です。

🖋️【さらにカスタマイズ】

3の「試用期間中に労働者として不適格と認めた者」だけで済ませるよりも、具体的にどのような場合が、”不適格”となるのかを明記しておいた方がトラブルが少なくなります。

不適格の例:

  • 遅刻および早退ならびに欠勤が多い等、出勤状態が悪いとき
  • 上司の指示に従わない、同僚との協調性がない、やる気がない等、勤務態度が悪いとき
  • 必要な教育は施したが医院が求める能力に足りず、また改善の見込みも薄い等、能力不足が認められるとき
  • 第〇条に定める解雇事由に該当するとき

次に、モデル規則では、試用期間の短縮については明記していますが、延長については触れていません。そこで、試用期間の延長について明記することをおすすめします。

なぜなら、長期欠勤などの理由で通常の試用期間中だけでは、本採用の可否を判断できない場合があるからです。

延長は最長でも採用から1年を限度とします。1年を超えると試用期間として不適切と判断されるリスクが高くなります。

参考:厚生労働省「確かめよう労働条件 労働条件に関する総合サイト」

第7条 労働条件の明示

会社は、労働者を採用するとき、採用時の賃金、就業場所、従事する業務、労働時間、休日、その他の労働条件を記した労働条件通知書及びこの規則を交付して労働条件を明示するものとする。

📖【解説】

採用時には、賃金、労働時間、その他の労働条件を明示することが必要です。

詳細はこちらの記事をご覧ください。飲食店向けではありますが、全業種に共通した内容となっています。

飲食店の労働条件明示ルール|アルバイト雇用時に必ず説明すべき10の項目

🖋️【さらにカスタマイズ】

「(略)労働条件通知書及びこの規則を交付して労働条件を明示する(略)」とありますが、労働条件通知書は使用者からの一方的な通知となることから、労働条件通知書兼雇用契約書を作成し、スタッフの同意を得ることをおすすめします。

最も手軽にできるのは、厚生労働省が配布している労働条件通知書のタイトルを変更し、スタッフの署名欄を設ける方法です。

厚生労働省「労働条件通知書の様式(PDF)」

厚生労働省「労働条件通知書の様式(WORD版)」

第8条 人事異動

  会社は、業務上必要がある場合に、労働者に対して就業する場所及び従事する業務の変更を命ずることがある。
2 会社は、業務上必要がある場合に、労働者を在籍のまま関係会社へ出向させることがある。
3 前2項の場合、労働者は正当な理由なくこれを拒むことはできない。

📖【解説】

業務上の理由から就業場所や従事する業務を変更することは、この規定がなくても可能です。ただし、採用時に就業場所や従事する業務に関して特別な合意(限定)をしている場合は除きます。

🖋️【さらにカスタマイズ】

院外で業務に従事する可能性がある場合は、出張を命じる可能性があることも記載をしておく方が良いです。

第9条 休職

  労働者が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職とする。
① 業務外の傷病による欠勤が〇か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき・・・〇年以内
② 前号のほか、特別な事情があり休職させることが適当と認められるとき・・・必要な期間
                    
2 休職期間中に休職事由が消滅したときは、原則として元の職務に復帰させる。ただし、元の職務に復帰させることが困難又は不適当な場合には、他の職務に就かせることがある。

3 第1項第1号により休職し、休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする。

📖【解説】

休職は、業務外のケガや病気(私傷病)などで長期間働くことができない場合に、従業員として在籍をしたまま、一定期間労働を免除するものです。

法律では休職制度についての定めがないため、休職制度を設けないこともできます。ただし、実際には、多くの事業所で休職制度が設けられています。

優秀な人材・労働力の確保や、私傷病を理由にした解雇をする前の猶予期間といった目的があるためです。

🖋️【さらにカスタマイズ】

モデル規則の記載内容だけでは、実務的に不足する項目があります。以下の内容を明記することをおすすめします。

  • 休職期間中の給与支給について。無給にするのが一般的です。
  • 休職期間中の社会保険料の本人負担分や住民税の取り扱いについて。
  • 休職期間中の手続きについて。
  • 復職や再休職について。など

詳細は、こちらの記事を参考にしてください。

歯科医院の休職制度の作り方|診断書・休職期間・復職判断まで就業規則への記載例を完全解説

メンタルヘルス不調による休職の場合に限りますが、厚生労働省から以下の手引きが配布されていますので、お役立てください。
厚生労働省:「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(PDF)

第10条 服務

労働者は、職務上の責任を自覚し、誠実に職務を遂行するとともに、会社の指示命令に従い、職務能率の向上及び職場秩序の維持に努めなければならない。

📖【解説】

特に追加・修正することはありません。

第11条 遵守事項

労働者は、以下の事項を守らなければならない。
① 許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用しないこと。
② 職務に関連して自己の利益を図り、又は他より不当に金品を借用し、若しくは贈与を受ける等不正な行為を行わないこと。
③ 勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れないこと。
④ 会社の名誉や信用を損なう行為をしないこと。
⑤ 在職中及び退職後においても、業務上知り得た会社、取引先等の機密を漏洩しないこと。
⑥ 酒気を帯びて就業しないこと。
⑦ その他労働者としてふさわしくない行為をしないこと。

📖【解説】

仕事をするうえで守って欲しいこと、特に気をつけて欲しいことがあれば、追加していきます。

🖋️【さらにカスタマイズ】

モデル規則では、「~してはならない。」「~しないこと。」と禁止行為を明記していますが、この書き方の場合、スタッフはどのような行動・行為が望ましいのか判断に困ることがあります。

そこで、当事務所では可能な限り、どのような行動・行為が望ましいのかを明記することをおすすめしています。

望ましい行動・行為の記載例:

  • 勤務時間中は許可がない限り職場にとどまり、与えられた仕事を誠実に行うこと
  • 院内外を問わず、医院や医院に関係する人の名誉や信用、体面を守る行動をとること
  • 常に職場を整理整頓し、気持ちよく勤務ができるように努めること
  • 秘密情報の取り扱いは院内で行い、院外への持ち出しが必要な場合は、事前に医院の許可を得て、指定された方法で適切に管理すること

このほか、「私品の持ち込みや所持品の検査」「パソコンなどの私用やモニタリング」に関する規定などを設けることを検討します。

ある歯科医院さんでは、院内の備品を許可なく持ち帰っているスタッフがいました。この場合、所持品検査に関する規定がないと、実際にチェックを行うことが難しくなります。

第12条 職場のパワーハラスメントの禁止

職務上の地位や人間関係などの職場内の優越的な関係を背景とした、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、他の労働者の就業環境を害するようなことをしてはならない。

📖【解説】

2022年4月1日から事業規模にかかわらず、パワーハラスメントを防止するための措置を講じることが義務化されています。

パワーハラスメントの防止措置については、こちらの記事でご確認ください。

歯科医院のパワハラ防止措置義務|院長の指導がパワハラと言われない4つの境界線

🖋️【さらにカスタマイズ】

防止措置の一環として、相談窓口の設置やプライバシー保護・相談による不利益な取り扱いを禁止することを周知することなどが義務付けられていることから、他のハラスメント(セクシャルハラスメント、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントなど)の防止に関する規定とあわせて、「ハラスメント防止規程」を別規程として作成することも検討します。

第13条 セクシュアルハラスメントの禁止

性的言動により、他の労働者に不利益や不快感を与えたり、就業環境を害するようなことをしてはならない。

📖【解説】

パワハラの防止と同じく、セクハラについても防止措置を講じることが義務付けられています。

🖋️【さらにカスタマイズ】

就業規則に追記、もしくは、別規程でより具体的な禁止行為や患者さんからセクハラ行為を受けた場合などの対応についても明記するのがおすすめです。

歯科医院のセクハラ対策はどうする?患者さんなどからスタッフを守る就業規則と対応方法

第14条 妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントの禁止

妊娠・出産等に関する言動及び妊娠・出産・育児・介護等に関する制度又は措置の利用に関する言動により、他の労働者の就業環境を害するようなことをしてはならない。

📖【解説】

パワハラ、セクハラの防止と同じく、妊娠や出産等に関するハラスメントについても防止措置を講じることが義務付けられています。

🖋️【さらにカスタマイズ】

就業規則にハラスメントを行った場合の懲戒処分に関する規定を設けるなどのほか、院長自身が知らず知らずのうちに、ハラスメント行為を行わないよう事前に知識を身につけておくことも大切です。

妊娠・出産・育児介護休業ハラスメント(マタハラ等)の禁止|小規模歯科医院での注意点と防止措置

第15条 その他あらゆるハラスメントの禁止

第12条から前条までに規定するもののほか、性的指向・性自認に関する言動によるものなど職場におけるあらゆるハラスメントにより、他の労働者の就業環境を害するようなことをしてはならない。

📖【解説】

パワハラ、セクハラ以外にも数多くのハラスメントが存在しています。

中には、「ハラスメント・ハラスメント」と言われる、「正当な業務指導やコミュニケーションまでをも「ハラスメントだ」と過剰に主張し、就業環境を害する」ハラスメントもあります。

このようなハラスメントを正しく理解していないスタッフもいることから、ハラスメントに関する規定やそれに基づいた研修が重要となっています。

🖋️【さらにカスタマイズ】

近年、社会的な問題となっているカスタマーハラスメント(カスハラ)対策が義務化され、間もなく法律が施行される予定です。

そのため、カスハラ被害にあった場合やカスハラが疑われる場合の対応マニュアルなどの整備も必要となります。

法律の公布日(令和7年(2025年)6月11日)から1年6か月以内に施行予定
内閣府「政府広報オンラインより」

ハラスメント全般に関する資料や動画教材などが、厚生労働省の「あかるい職場応援団」で公開されていますので、有効に活用していきましょう。

第16条 個人情報保護

  労働者は、会社及び取引先等に関する情報の管理に十分注意を払うとともに、自らの業務に関係のない情報を不当に取得してはならない。

2 労働者は、職場又は職種を異動あるいは退職するに際して、自らが管理していた会社及び取引先等に関するデータ・情報書類等を速やかに返却しなければならない。

📖【解説】

個人情報を取り扱うすべての事業者に対して個人情報保護法が適用されますので、就業規則に規定を設けるとともに、適切に情報を取り扱うことが求められます。

🖋️【さらにカスタマイズ】

歯科医院で扱う患者さんの個人情報は、「特に適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある分野」である要配慮個人情報となっています。

そのため、通常の個人情報よりも一層個人情報の取り扱いに注意する必要があります。

スタッフのスマホ利用や院内外での会話などに関する規定を盛り込んでいくことを検討しましょう。実際の規定例などは以下の記事を参考にしてください。

歯科医院の個人情報保護と漏洩対策|「スマホ撮影」と「うっかり会話」を防ぐ秘密保持規程のポイント

第17条 始業及び終業時刻の記録

労働者は、始業及び終業時にタイムカードを自ら打刻し、始業及び終業の時刻を記録しなければならない。

📖【解説】

労働時間を把握することは、使用者の義務となっています。タイムカードなどで、正確に労働時間を管理する必要があります。

【厚生労働省:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

🖋️【さらにカスタマイズ】

固定残業代制度を導入されている事業所さんでは、残業時間を把握してないというケースがあります。固定残業代を支給していても、残業時間を計算し、残業代に不足があれば追加での支給が必要となります。

固定残業代(みなし残業代)制度の正しい導入手順|歯科医院で失敗しない3つのポイント

第18条 遅刻、早退、欠勤等

  労働者は遅刻、早退若しくは欠勤をし、又は勤務時間中に私用で事業場から外出する際は、事前に○○に対し申し出るとともに、承認を受けなければならない。ただし、やむを得ない理由で事前に申し出ることができなかった場合は、事後に速やかに届出をし、承認を得なければならない。

2 前項の場合は、第45条に定めるところにより、原則として不就労分に対応する賃金は控除する。

3 傷病のため継続して〇日以上欠勤するときは、医師の診断書を提出しなければならない。

📖【解説】

1項:遅刻早退等は事前の申し出を原則とします。事後はあくまでも例外として取り扱います。

2項:遅刻した場合、給与は減らしていいのですか?という質問をいただくことがあります。遅刻した時間分の給与は支給しなくても問題ありません。

3項:安全配慮義務の点、仮病等の不当な理由による欠勤かどうかの確認の点から診断書の提出を求めます。

🖋️【さらにカスタマイズ】

1項:事後承認を得られない場合は、無断欠勤等として取り扱う旨を規定するかどうかを検討します。

3項:継続〇日以上の欠勤ではなく、1日の欠勤でも診断書の提出を求めることがある旨を規定するかどうかを検討します。

第19条 労働時間及び休憩時間

  労働時間は、1週間については40時間、1日については8時間とする。

2 始業・終業の時刻及び休憩時間は、次のとおりとする。ただし、業務の都合その他やむを得ない事情により、これらを繰り上げ、又は繰り下げることがある。この場合、〇前日までに労働者に通知する。
① 一般勤務
始業・終業時刻 休憩時間
始業  午前  時  分   時  分から  時  分まで
終業  午後  時  分

② 交替勤務
 (イ)1番(日勤)
始業・終業時刻 休憩時間
始業  午前  時  分   時  分から  時  分まで
終業  午後  時  分

(ロ)2番(準夜勤)
始業・終業時刻 休憩時間
始業  午前  時  分   時  分から  時  分まで
終業  午後  時  分

(ハ)3番(夜勤)
始業・終業時刻 休憩時間
始業  午前  時  分   時  分から  時  分まで
終業  午後  時  分

3 交替勤務における各労働者の勤務は、別に定めるシフト表により、前月の〇日までに各労働者に通知する。

4 交替勤務における就業番は原則として   日ごとに   番を   番に、
   番を   番に、   番を   番に転換する。

5 一般勤務から交替勤務へ、交替勤務から一般勤務への勤務形態の変更は、原則として休日又は非番明けに行うものとし、前月の〇日前までに△△が労働者に通知する。

📖【解説】

始業と終業時刻、休憩時間の記載は必須です。複数のパターンがある場合は、そのすべてを記載するようにします。

モデル規則にも記載があるように、始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げについての規定は必ずいれておきます。通常とは異なる勤務時間帯に勤務が必要となった場合のためです。

なお、通常1週間の所定労働時間の上限は40時間ですが、歯科医院などの保健衛生業、商業、映画の製作の事業を除く映画・演劇業、接客娯楽業で、従業員数が10人未満の事業所は週44時間が上限となっています。(特例措置)

ただし、特例措置は廃止が検討されていることから、原則どおり週40時間での勤務体制構築をおすすめします。

週44時間特例措置が廃止されたらどうなる?歯科医院が今すぐすべき3つの準備

🖋️【さらにカスタマイズ】

歯科医院などでは、1日の所定労働時間が8時間を超える設定になっていることがあります。このような場合は、変形労働時間制の導入を行います。

変形労働時間制とは、1か月単位や1年単位の一定の期間内の労働時間を平均して、1週40時間以内にすることで、1日8時間超、1週40時間超の所定労働時間を設定できる制度です。
(1か月単位の場合、特例措置対象事業場は週44時間以内)

歯科医院では、1か月単位の変形労働時間制を導入することが多いです。

●変形労働時間制全般についての解説記事はこちら

変形労働時間制とは?4つの種類と基礎知識、人件費を最適化する方法

1か月単位の変形労働時間制についての解説記事はこちら

1か月単位の変形労働時間制とは?制度の基礎・残業計算をわかりやすく解説(飲食店・美容室・歯科医院向け)

●1年単位の変形労働時間制についての解説記事はこちら

1年単位の変形労働時間制とは?わかりやすく制度の基礎を解説

●1週間単位の変形労働時間制についての解説記事はこちら

1週間単位の変形労働時間制とは?制度の基礎・小規模飲食店での活用法を解説

1週間単位の変形労働時間制(正式には、1週間単位の非定型的変形労働時間制)は、従業員30人未満の小売業、旅館、料理・飲食店の事業所のみが導入可能です。

モデル就業規則にも各変形労働時間制の規定例が記載されていますので、参考にしてみてください。

第20条 休日

  休日は、次のとおりとする。
① 土曜日及び日曜日
② 国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日)
③ 年末年始(12月  日~1月  日)
④ 夏季休日(  月  日~  月  日)
⑤ その他会社が指定する日

2 業務の都合により会社が必要と認める場合は、あらかじめ前項の休日を他の日と振り替えることがある。

📖【解説】

法律上、休日は1週間に1日(または、4週間で4日)あれば良いことになっています。
ただし、1日8時間1週40時間という原則があるため、1日8時間勤務であれば週休2日となります。

2項は、振替休日のための規定です。

シフト制で休日の曜日を特定できない場合の規定例

  休日は、シフト表により指定した日とする。
2 前項の休日は、1週間に1日以上とし、原則として週に2日程度確保できるようシフトを作成する。シフト表は毎月〇日までに作成し、通知する。

🖋️【さらにカスタマイズ】

振替休日のほかに代休の規定を設けることがよくあります。

●振替休日と代休の違い

振替休日は「事前」、代休は「事後」です。
振替休日は、予め出勤日と休日を入れ替えるのに対して、代休は、休日に出勤をした後に、本来出勤日である日に休みを与えるものです。

振替休日と代休の大きな違いは、残業代や休日出勤手当の取り扱いです。詳しくは、下の記事で解説しています。

振替休日と代休の違いとは?振替休日が週をまたぐとどうなる?

モデル就業規則には、変形労働時間制を導入した場合の休日の規定例がありますので、参考にしてください。

第21条 時間外及び休日労働等

  業務の都合により、第19条の所定労働時間を超え、又は第20条の所定休日に労働させることがある。

2 前項の場合、法定労働時間を超える労働又は法定休日における労働については、あらかじめ会社は労働者の過半数代表者と書面による労使協定を締結するとともに、これを所轄の労働基準監督署長に届け出るものとする。

3 妊娠中の女性、産後1年を経過しない女性労働者(以下「妊産婦」という。)であって請求した者及び18歳未満の者については、第2項による時間外労働又は休日若しくは深夜(午後10時から午前5時まで)労働に従事させない。

4 災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合には、第1項から前項までの制限を超えて、所定労働時間外又は休日に労働させることがある。ただし、この場合であっても、請求のあった妊産婦については、所定労働時間外労働又は休日労働に従事させない。

📖【解説】

1項

残業や休日労働を命じるために必要な規定です。雇用関係があっても、この規定がないと残業や休日労働を命じることができません。

2項

時間外労働・休日労働に関する協定届(いわゆる、36協定届)に関する規定です。

36協定届の届け出が必要なのは、法定労働時間(1日8時間、1週40時間または44時間)を超える場合です。

歯科医院院長のための36協定の正しい記入例と注意点

3項、4項

法律によりこのような制限が設けられています。

🖋️【さらにカスタマイズ】

スタッフの独断による残業を防ぐための規定を盛り込むことを検討します。

残業等を許可制する場合の規定例

所定労働時間外、深夜および休日労働の必要性が生じた場合、従業員は事前に○○(上長)に申し出て、許可を得なければならない。

従業員が、○○(上長)の許可なく会社業務を実施した場合、当該業務の実施に該当する部分の通常賃金および割増賃金は支払わない。

許可を得ずに行った残業等には、残業代等を支払わないことを規定しています。

このような規定になっていたとしても、実際には許可制になっていない。あるいは、許可を得ないで行った残業を黙認している場合は、通常の残業と同じ扱いになります。

第22条 勤務間インターバル

  いかなる場合も、従業員ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、○時間の継続した休息時間を与える。ただし、災害その他避けることができない場合は、この限りではない。

2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、当該始業時刻から満了時刻までの時間は労働したものとみなす。

📖【解説】

勤務間インターバルは、終業時刻から次の始業時刻の間に、一定時間以上の休息時間を設ける制度のことです。

勤務間インターバル制度は、現在(2026年1月現在)は義務化されていませんので、規定をしなくても差し支えありません。

🖋️【さらにカスタマイズ】

勤務間インターバル制度は、義務化(原則11時間)が検討されており、義務化された場合には罰則が科される可能性があります。

11時間の休息を取れていないケースがあるかどうかをチェックしておきましょう。

第23条 年次有給休暇

  採用日から6か月間継続勤務し、所定労働日の8割以上出勤した労働者に対しては、10日の年次有給休暇を与える。その後1年間継続勤務するごとに、当該1年間において所定労働日の8割以上出勤した労働者に対しては、下の表のとおり勤続期間に応じた日数の年次有給休暇を与える。

勤続期間6か月1年6か月2年6か月3年6か月4年6か月5年6か月6年6か月以上
付与日数10日11日12日14日16日18日20日

2 前項の規定にかかわらず、週所定労働時間30時間未満であり、かつ、週所定労働日数が4日以下(週以外の期間によって所定労働日数を定める労働者については年間所定労働日数が216日以下)の労働者に対しては、下の表のとおり所定労働日数及び勤続期間に応じた日数の年次有給休暇を与える。

週所定労働日数1年間の 所定労働日数勤    続    期    間
6か月1年 6か月2年 6か月3年 6か月4年 6か月5年 6か月6年 6か月 以上
4日169日~216日7日8日9日10日12日13日15日
3日121日~168日5日6日6日8日9日10日11日
2日73日~120日3日4日4日5日6日6日7日
1日48日~72日1日2日2日2日3日3日3日

3 第1項又は第2項の年次有給休暇は、労働者があらかじめ請求する時季に取得させる。ただし、労働者が請求した時季に年次有給休暇を取得させることが事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季に取得させることがある。


4 前項の規定にかかわらず、労働者代表との書面による協定により、各労働者の有する年次有給休暇日数のうち5日を超える部分について、あらかじめ時季を指定して取得させることがある。

5 第1項又は第2項の年次有給休暇が10日以上与えられた労働者に対しては、第3項の規定にかかわらず、付与日から1年以内に、当該労働者の有する年次有給休暇日数のうち5日について、会社が労働者の意見を聴取し、その意見を尊重した上で、あらかじめ時季を指定して取得させる。ただし、労働者が第3項又は第4項の規定による年次有給休暇を取得した場合においては、当該取得した日数分を5日から控除するものとする。

6 第1項及び第2項の出勤率の算定に当たっては、下記の期間については出勤したものとして取り扱う。
① 年次有給休暇を取得した期間
② 産前産後の休業期間
③ 育児・介護休業法に基づく育児休業及び介護休業した期間
④ 業務上の負傷又は疾病により療養のために休業した期間

7 付与日から1年以内に取得しなかった年次有給休暇は、付与日から2年以内に限り繰り越して取得することができる。

8 前項について、繰り越された年次有給休暇とその後付与された年次有給休暇のいずれも取得できる場合には、繰り越された年次有給休暇から取得させる。

9 会社は、毎月の賃金計算締切日における年次有給休暇の残日数を、当該賃金の支払明細書に記載して各労働者に通知する。

📖【解説】

1項:法律の原則どおりの付与の仕方と付与日数になっています。

まれに、法律よりも少ない付与日数を設定されている事業所がありますが、その日数は無効となり、法律の日数が付与されます。

2項:法律どおりとなっています。就業規則を正社員と他の従業員に分けて作成する場合、正社員用の就業規則には該当者がいないはずですので、記載がなくても問題ありません。

3項:従業員から請求があった有給休暇の取得日を、別の日に変更することを可能にする規定です。

現実的には、取得日変更のハードルは高いので、この規定があるからといって絶対に変更ができるわけではありません。

4項:「年次有給休暇の計画的付与」の規定です。労使協定を結ぶことによって、あらかじめ有給休暇の取得日を決めておくことができるようになります。

5項の有給休暇の取得義務への対応策の一つとすることも可能です。

歯科医院の院長必見!有給休暇の計画的付与で人材確保と診療効率を両立するには?

5項:未消化の有給休暇が10日以上残っている従業員には、1年間で最低5日は有給休暇を取得させてなければならないことになっています。

”1年間”は、有給休暇が新たに付与された日からの1年間です。原則、従業員ごとに異なりますが、付与日を統一している場合は、その統一付与日からとなります。

参考:厚生労働省:「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」

6項、7項:法律どおりの規定です。有給休暇の繰り越しは翌年のみ有効ですので、最大で40日間の有給休暇が付与される可能性があります。

8項:有給休暇の消化を繰り越された分(古い分)から行うことを規定しています。

法律には定めがないので、新たに付与された分から消化する旨の規定をすることは可能です。

9項:有給休暇の残日数を給与明細書に記載する旨の規定です。

法律上の義務はありませんので、規定しなくても構いません。

🖋️【さらにカスタマイズ】

【必ず追加すべき規定】

従業員は、第1項に定める年次有給休暇を申請する場合、指定する最初の日の〇日前までに○○部(院長・社長)、に○○(書面)で届け出るものとする。

モデル就業規則では、有給休暇の取得申請を何日前までにすれば良いのかを規定していません。
法律では、有給休暇は”事前”(前日でも可)に申請すれば良いことになっています。

実務的には前日の申請は困るケースが多いので、〇日前までにと就業規則に規定しておく方が良いです。

【その他規定を検討する事項】

  • 事後の申請を認めか否か。法律では事後の申請を認める義務はありません。
  • 長期期間(または連日で)の取得の場合、申請期限を通常よりも前に設定するかどうか。
  • 半日単位の取得を認めるかどうか。法律上は半日単位での取得を認める義務はありません。
  • 有給休暇取得時の給料について。有給休暇取得時の給料については法律で、以下のいずれかの方法で支払うことが義務づけられています。
    1. 通常の賃金
    2. 平均賃金
    3. 健康保険法の標準報酬日額(労使協定の締結が必要)

1.の通常の賃金で支払うケースがほとんどです。月給者であれば、給与の減額なし、時給者であれば、時給×その日の本来の出勤時間となります。

また、2.と3.については、今後の廃止が検討されています。

第24条 年次有給休暇の時間単位での取得

労働者代表との書面による協定に基づき、前条の年次有給休暇の日数のうち、1年について5日の範囲で次により時間単位の年次有給休暇(以下「時間単位年休」という。)を付与する。
(1)時間単位年休付与の対象者は、すべての労働者とする。
(2)時間単位年休を取得する場合の、1日の年次有給休暇に相当する時間数は、以下のとおりとする。
① 所定労働時間が5 時間を超え6 時間以下の者…6 時間
② 所定労働時間が6 時間を超え7 時間以下の者…7 時間
③ 所定労働時間が7 時間を超え8 時間以下の者…8 時間
(3)時間単位年休は1時間単位で付与する。
(4)本条の時間単位年休に支払われる賃金額は、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の1時間当たりの額に、取得した時間単位年休の時間数を乗じた額とする。
(5)時間単位年休には、前条第4項及び第5項の規定は適用しない。

📖【解説】

有給休暇の時間単位での取得は、任意です。導入しない場合は、規定する必要はありません。

時間単位での取得を認める場合は、労使協定が必要になります。

時間単位での取得は管理が煩雑になりますし、労使協定も必要なことから、当事務所の関与先様では導入された例はありません。

前条で解説した半日単位の取得は、労使協定なしで導入でき、管理も時間単位よりも容易なので、導入されているケースが多くあります。

第25条 産前産後の休業

  6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定の女性労働者から請求があったときは、休業させる。

2 産後8週間を経過していない女性労働者は、就業させない。

3 前項の規定にかかわらず、産後6週間を経過した女性労働者から請求があった場合は、その者について医師が支障ないと認めた業務に就かせることがある。

📖【解説】

産前・産後休業に関する法律どおりの規定です。

🖋️【さらにカスタマイズ】

休業中の給料についての規定がありませんので、追加しておく方が良いでしょう。法律上、産前産後休業期間中は無給とすることが可能です。

健康保険に加入している場合は、出産手当金が支給されます。

産前産後休業・育児休業、子育てに関する制度・手続きの一覧

第26条 母性健康管理の措置

  妊娠中又は出産後1年を経過しない女性労働者から、所定労働時間内に、母子保健法に基づく保健指導又は健康診査を受けるために申出があったときは、次の範囲で時間内通院を認める。
① 産前の場合
妊娠23週まで・・・・・・・・4週に1回
妊娠24週から35週まで ・・・2週に1回
妊娠36週から出産まで ・・・・1週に1回
ただし、医師又は助産師(以下「医師等」という。)がこれと異なる指示をしたときには、その指示により必要な時間
② 産後(1年以内)の場合
医師等の指示により必要な時間

2 妊娠中又は出産後1年を経過しない女性労働者から、保健指導又は健康診査に基づき勤務時間等について医師等の指導を受けた旨申出があった場合、次の措置を講ずる。
① 妊娠中の通勤緩和措置として、通勤時の混雑を避けるよう指導された場合は、原則として時間の勤務時間の短縮又は  時間以内の時差出勤を認める。
② 妊娠中の休憩時間について指導された場合は、適宜休憩時間の延長や休憩の回数を増やす。
③ 妊娠中又は出産後の女性労働者が、その症状等に関して指導された場合は、医師等の指導事項を遵守するための作業の軽減や勤務時間の短縮、休業等の措置をとる。

📖【解説】

母性健康管理の措置について、法律で定められている内容にそった規定です。

🖋️【さらにカスタマイズ】

産前産後休業同様に、この措置を利用した時間等に対する給料の取り扱いの規定がありませんので、追加しておく方が良いでしょう。法律上、無給とすることが可能です。

第27条 育児時間及び生理休暇

  1歳に満たない子を養育する女性労働者から請求があったときは、休憩時間のほか1日について2回、1回について30分の育児時間を与える。

2 生理日の就業が著しく困難な女性労働者から請求があったときは、必要な期間休暇を与える。

📖【解説】

1項:法律どおりの規定となっており、対象のスタッフから請求があった場合は、休憩時間とは別に育児時間を与える必要があります。

2項:こちらも法律どおりの規定となっています。生理休暇は、半日単位、時間単位でも取得が可能です。

🖋️【さらにカスタマイズ】

1項、2項どちらとも給与の扱いについての規定を追加しておきます。どちらの場合も、法律上、無給とすることが認められています。

育児時間は、所定労働時間が4時間以下の場合は、1日1回与えれば良いことになっていますので、パートタイマーを対象とした規則には、この旨を追記しておくのがおすすめです。

第28条 育児・介護休業、子の看護等休暇等

  労働者のうち必要のある者は、育児・介護休業法に基づく育児休業、出生時育児休業、介護休業、子の看護等休暇、介護休暇、育児・介護のための所定外労働、時間外労働及び深夜業の制限並びに所定労働時間の短縮措置等(以下「育児・介護休業等」という。)の適用を受けることができる。

2 育児・介護休業等の取扱いについては、「育児・介護休業等に関する規則」で定める。

📖【解説】

育児・介護休業などに関する規定です。就業規則内で詳細は規定せずに、別規則を作成して詳細を定めるように規定してあります。

別規則がない場合は、すべての内容が法律の原則通りとなります。
制度の中には、対象となる従業員を制限できたり、実施する措置を事業主が選択できたりしますので、別規則を作成して自医院に適した内容にすることをおすすめします。

育児介護休業法改正 2025年10月【小規模企業のための要点解説】

最新の育児介護休業等に関する情報や規定例はこちらで入手できます。

厚生労働省サイト「育児・介護休業法について」

第29条 不妊治療休暇

  労働者が不妊治療のための休暇を請求したときは、年○日を限度に休暇を与える。

2 労働者が不妊治療のための休業を請求したときは、休業開始日の属する事業年度(毎年4月1日から翌年3月31日まで)を含む引き続く5事業年度の期間において、最長1年間を限度に休業することができる。

📖【解説】

不妊治療休暇は任意です。法律上の義務はありません。

小規模な事業所で導入されているケースは見たことがありません。

🖋️【さらにカスタマイズ】

休暇以外にも費用の助成など支援には複数の方法がありますので、医院独自の支援策を設けることで、採用や定着の施策の一つととらえることもできます。

第30条 慶弔休暇

労働者が申請した場合は、次のとおり慶弔休暇を与える。
① 本人が結婚したとき                       〇日
② 妻が出産したとき                        〇日
③ 配偶者、子又は父母が死亡したとき                〇日
④ 兄弟姉妹、祖父母、配偶者の父母又は兄弟姉妹が死亡したとき    〇日

📖【解説】

慶弔休暇を設けるかどうかは任意で、法律上の義務はありません。

当事務所の関与先さまでは、9割以上が慶弔休暇を設けられています。

🖋️【さらにカスタマイズ】

慶弔休暇を取得した場合の給与の取り扱いについて規定しておきます。慶弔休暇の場合、有給休暇と同様に、給料を全額支給されるケースがほとんどです。

①本人が結婚したとき

取得できる期限を設けておく方がよいです。例えば、入籍日から6か月以内など。

追加を検討してもよい事由:

以下のような場合も休暇を取得できるようにするかどうかを検討してみてください。

  • 子どもが結婚するとき
  • 配偶者の父母、祖父母や孫が死亡したとき
  • その他医院が必要と認めるとき

第31条 病気休暇

労働者が私的な負傷又は疾病のため療養する必要があり、その勤務しないことがやむを得ないと認められる場合に、病気休暇を〇日与える。

📖【解説】

病気休暇を設けるかどうかは任意です。

当事務所の関与先さまでは、導入例はありません。短期の場合は欠勤、長期の場合は休職で対応しています。

第32条 裁判員等のための休暇等

  労働者が裁判員若しくは補充裁判員となった場合又は裁判員候補者となった場合には、次のとおり休暇を与える。
① 裁判員又は補充裁判員となった場合              必要な日数
② 裁判員候補者となった場合                  必要な時間

2 労働者が国又は地方公共団体の議会の議員の選挙において候補者となった場合には、選挙運動の期間につき、選挙運動のために必要な日数の休暇を与える。

📖【解説】

1項:従業員が裁判員等になった場合は、必要な時間や日数を与えなければならないことになっています。

2項:こちらも1項同様に法律で定められたもので、公民権の行使と言います。立候補をした場合のほか、投票を行う時間なども公民権の行使となります。

🖋️【さらにカスタマイズ】

給与の取り扱いについての規定がありませんので、追加しておくと良いです。1項、2項ともに給与を支払う義務はありません

裁判員等の場合は、国(裁判所)から日当が支給されます。

賃金については、「賃金規程」や「給与規程」などとして、別規程で規定することが多いですが、モデルでは、就業規則内で規定しています。

第33条 賃金の構成

賃金の構成は、次のとおりとする。

賃金
 ●基本給
 ●手当
   ・家族手当
   ・通勤手当
   ・役付手当
   ・技能、資格手当
   ・精勤手当
 ●割増賃金   
   ・時間外労働割増賃金
   ・休日労働割増賃金
   ・深夜労働割増賃金

📖【解説】

実際に医院で支給している手当を規定します。

規定されていない手当が支給されていたり、すでに廃止された手当の規定が残っていることがあります。
このようなことがあると、労使トラブルのもととなるので、実態と規定を一致させることが大切です。

第34条 基本給

基本給は、本人の職務内容、技能、勤務成績、年齢等を考慮して各人別に決定する。

📖【解説】

基本給額の決定の仕方についての規定です。何を考慮して基本給を算定するのかを明確にします。

🖋️【さらにカスタマイズ】

基本給の種類(月給制、日給月給制、日給制、時間給制)を明記するすることが多いです。

例:基本給は、日給月給制として、本人の職務内容、技能、勤務成績、年齢等を考慮して各人別に決定する。

一般的に「月給制」と呼ばれているものは、”日給月給制”のことを指していることがほとんどです。月給制と日給月給制には以下のような違いがあります。

「月給制」・・・欠勤や遅刻早退などがあっても、給与を減額することなく支給します。(完全月給とも言われます。)

「日給月給制」・・・欠勤や遅刻早退などがあったても、その分の給与を減額して支給します。

第35条~第39条 各種手当

📖【解説】

自医院の実態に合わせた手当を規定します。可能な限り手当の数は増やさず、最小限の手当を設定しましょう。

今後、同一労働同一賃金が厳格化される予定であることから、これまで以上に正社員と非正規社員の待遇差をなくす動きが予想されます。

同一労働同一賃金の厳格化で、各手当ごとに「なぜ待遇差があるのか?」を明確に説明できなければならなくなります。そのため極力手当は増やさない方が良いです。

🖋️【さらにカスタマイズ】

【第36条 通勤手当】
通勤手当に関して以下の事項を確認、注意してください。

  • 転居などによる通勤経路の変更を届け出ず、不正に手当を受け取った場合の差額返還の規定を追加する。
  • マイカー(バイク、自転車含む)通勤の場合の免許証や自賠責保険、任意保険の定期確認の規定を追加する。(別途、より詳細にマイカー通勤規程を設ける方法もあります。)

第40条 割増賃金

  時間外労働に対する割増賃金は、次の割増賃金率に基づき、次項の計算方法により支給する。
(1)1か月の時間外労働の時間数に応じた割増賃金率は、次のとおりとする。この場合の1か月は毎月〇日を起算日とする。
  ① 時間外労働45時間以下・・・25%
  ② 時間外労働45時間超~60時間以下・・35%
  ③ 時間外労働60時間超・・・・・50%
  ④ ③の時間外労働のうち代替休暇を取得した時間・・・35%(残り15%の割増賃金は代替休暇に充当する。)
(2)1年間の時間外労働の時間数が360時間を超えた部分については、40%とする。この場合の1年は毎年〇月〇日を起算日とする。
(3)時間外労働に対する割増賃金の計算において、上記(1)及び(2)のいずれにも該当する時間外労働の時間数については、いずれか高い率で計算することとする。

2 割増賃金は、次の算式により計算して支給する。
(1) 月給制の場合
  ① 時間外労働の割増賃金

   【時間外労働が1か月45時間以下の部分】
   (基本給+役付手当+技能・資格手当+精勤手当)÷1か月の平均所定労働時間数×1.25×時間外労働の時間数               

   【時間外労働が1か月45時間超~60時間以下の部分】
   (基本給+役付手当+技能・資格手当+精勤手当)÷1か月の平均所定労働時間数                        ×1.35×時間外労働の時間数

   【時間外労働が1か月60時間を超える部分】
   (基本給+役付手当+技能・資格手当+精勤手当)÷1か月の平均所定労働時間数                         ×1.50×時間外労働の時間数

   【時間外労働が1年360時間を超える部分】
   (基本給+役付手当+技能・資格手当+精勤手当)÷1か月の平均所定労働時間数                        ×1.40×時間外労働の時間数

  ② 休日労働の割増賃金(法定休日に労働させた場合)

   (基本給+役付手当+技能・資格手当+精勤手当)÷1か月の平均所定労働時間数                         ×1.35×休日労働の時間数

  ③ 深夜労働の割増賃金(午後10時から午前5時までの間に労働させた場合)
 
   (基本給+役付手当+技能・資格手当+精勤手当)÷1か月の平均所定労働時間数                        ×0.25×深夜労働の時間数

 (2)日給の場合と(3)時給の場合は記載を省略します。

3 前項の1か月の平均所定労働時間数は、次の算式により計算する。
    (365-年間所定休日日数)×1日の所定労働時間÷12

📖【解説】

時間外労働(残業)や休日労働、深夜労働をした場合の割増賃金についての規定です。一部の割増率が法定を上回る規定になっているので注意が必要です。

🖋️【さらにカスタマイズ】

1項1号の②:時間外労働45時間超~60時間以下・・35%
→法律上は、45時間以下と同じ25%で問題ありません。(法律どおりにする場合は、この規定自体を削除します。)

60時間超の場合は、規定どおり50%の割増が必要です。

1項1号の④:代替休暇制度を導入する場合の規定です。代替休暇は1か月の時間外労働時間が60時間を超えた場合に、割増率の引上げ分の割増賃金の支払いの代わりとして、有給の休暇を与えられる制度です。

歯科医院で60時間超の時間外労働が頻繫に発生することは考えにくいため、代替休暇制度を導入するメリットがありません。そのため、この規定は不要です。

1項2号:1年間の時間外労働の時間数が360時間を超えた部分については、40%とする。
→法律を上回る規定です。法律ではこのような定めはありません。(法律どおりにする場合は、この規定自体を削除します。)

1項3号:1項2号を削除した場合は、こちらの規定も削除します。

2項について

(1)1項で削除した割増率に関する規定は削除します。

(2)割増賃金の計算をする場合、計算から除くことができる手当は法律で決まっています。これ以外の手当てはすべて割増賃金の計算に含めます。

割増賃金の計算から除外できる手当:
①家族手当
②通勤手当
③別居手当
④子女教育手当
⑤住宅手当
⑥臨時に支払われる賃金(退職金など)
⑦1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

手当の名称が上記の名称であっても実態が異なる場合や、スタッフ全員に一律で支給される場合などは、計算から除外できませんので注意が必要です。

参考資料:東京労働局「しっかりマスター労働基準法 割増賃金編」

歯科医院の残業代計算マニュアル|診療後の片付けは労働時間に含まれる?

第41条 1年単位の変形労働時間制に関する賃金の精算

1年単位の変形労働時間制の規定(第19条及び第20条)により労働させた期間が当該対象期間より短い労働者に対しては、その労働者が労働した期間を平均し1週間当たり40時間を超えて労働させた時間(前条の規定による割増賃金を支払った時間を除く。)については、前条の時間外労働についての割増賃金の算式中の割増率を0.25として計算した割増賃金を支払う。

📖【解説】

1年単位の変形労働時間制を導入している場合、期間中に中途入職や中途退職したスタッフの時間外労働についての割増賃金の精算を行う必要があります。

🖋️【さらにカスタマイズ】

さらに、1年間勤務したスタッフについても、1年間をとおして割増賃金の清算が必要となります。

1年単位の変形労働時間制は、割増賃金の計算が非常に複雑ですので、導入は慎重に検討してください。

1年単位の変形労働時間制とは?わかりやすく制度の基礎を解説

第42条 代替休暇

📖【解説】

割増賃金のパートでお伝えしたとおり、代替休暇は時間外労働時間数が60時間超の場合に利用できる制度です。

対象となる歯科医院はほぼないと想定されますので省略します。

第43条 休暇等の賃金

  年次有給休暇の期間は、所定労働時間労働したときに支払われる通常の賃金を支払う。

2 第25条から第32条までに規定する休暇又は休業の期間は、無給 / 通常の賃金を支払うこと とする。

3 第9条に定める休職期間中は、原則として賃金を支給しない(〇か月までは〇割を支給する)。

📖【解説】

各休暇等の場合の給与の支払いについての規定です。各休暇等のパートでお伝えをしたとおりです。

3項のカッコ書き:休職期間中は、全期間無給でもかまいません。

🖋️【さらにカスタマイズ】

モデル規則のように、給与の支払いについてまとめて規定するのも1つの方法ですが、各休暇等の規定で、有給/無給を明記しておいた方がわかりやすいですし、抜け落ちの心配がないかと考えます。

第44条 臨時休業の賃金

会社側の都合により、所定労働日に労働者を休業させた場合は、休業1日につき労基法第12条に規定する平均賃金の6割を支給する。この場合において、1日のうちの一部を休業させた場合にあっては、その日の賃金については労基法第26条に定めるところにより、平均賃金の6割に相当する賃金を保障する。

📖【解説】

事業主の都合でスタッフを休業させた場合には、休業手当(平均賃金の6割以上)の支払いが必要です。

歯科医院の院長先生が腰痛で医院を休みにした場合、休業手当の支払いが必要だというのが、問い合わせをした労働基準監督署の見解でした。

🖋️【さらにカスタマイズ】

この規定のいわゆる6割保障は、あくまでも労働基準法の最低ライン=つまり、労働基準法上は罰則になりませんよ。という話です。

ところが、スタッフは民法第536条第2項に基づき、給与の10割を請求する権利を有すると解されてます。そのため、就業規則に以下の文言を追加することを検討します。

規定例:会社(医院)は民法(第536条第2項)の適用を排除し、賃金を支給しない。

必ずしもこれで、6割保障だけで済むかどうかはわかりませんが、何も規定していないよりは多少の効果が期待できます。お守り代わりの一文です。

平均賃金とは何か?をわかりやすく解説|歯科医院での実例を交えて計算方法もお伝えします。

第45条 欠勤等の扱い

  欠勤、遅刻、早退及び私用外出については、基本給から当該日数又は時間分の賃金を控除する。

2 前項の場合、控除すべき賃金の1時間あたりの金額の計算は以下のとおりとする。
  ① 月給の場合
   基本給÷1か月平均所定労働時間数
   (1か月平均所定労働時間数は第40条第3項の算式により計算する。)
  ② 日給の場合
   基本給÷1日の所定労働時間数

📖【解説】

欠勤や遅刻をした場合の給与の控除(減額)についての規定です。

🖋️【さらにカスタマイズ】

モデル規則では、控除の対象を基本給のみとしていますが、他の手当も控除の対象にすることは可能です。

遅刻時の控除を行っていない事業所さんをちらほらとお見かします。
完全な私見ではありますが、遅刻の放置はあらゆる労使トラブルにつながっていきます。時間を守ることは”当たり前”のこと。
「少しくらいいいか。」ではなく、些細なことからきっちりとの精神が大切です。

第46条 賃金の計算期間及び支払日

  賃金は、毎月〇日に締め切って計算し、翌月〇日に支払う。ただし、支払日が休日に当たる場合は、その前日に繰り上げて支払う。

2 前項の計算期間の中途で採用された労働者又は退職した労働者については、月額の賃金は当該計算期間の所定労働日数を基準に日割計算して支払う。

📖【解説】

給与締日と支払日、月の途中での入職・退職時の日割り計算についての規定です。

支払日が休日の場合は前日に支払います。後に支払うと「(賃金は)一定の期日を定めて支払わなければならない。」という原則(賃金支払の五原則の一つ)に違反することになってしまいます。

🖋️【さらにカスタマイズ】

給与締日から支給日までの日数は、15日は空けたいところです。10日にされている事業所さんも多いですが、10日ですと暦によっては、給与計算が非常にタイトになることがあります。

第47条 賃金の支払と控除

  賃金は、労働者に対し、通貨で直接その全額を支払う。

2 前項について、労働者が同意した場合は、労働者本人の指定する金融機関の預貯金口座又は証券総合口座へ振込により賃金を支払う。

3 次に掲げるものは、賃金から控除する。
  ① 源泉所得税
  ② 住民税
  ③ 健康保険、厚生年金保険及び雇用保険の保険料の被保険者負担分
  ④ 労働者代表との書面による協定により賃金から控除することとした社宅入居料、財形貯蓄の積立金及び組合費

📖【解説】

1項・2項:給与は現金払いが原則です。(賃金支払の五原則の一つ)そのため、口座振込での支払いは、スタッフの同意を得たうえで行なう必要があります。

賃金振込同意書のひな型(東京労働局配布)

3項:給与から天引きするものを規定しています。なお、①~③の税金、公的保険料以外のものを天引きするためには、労使協定が必要となります。

賃金控除に関する協定書(東京労働局配布)

🖋️【さらにカスタマイズ】

現在は、給与のデジタル支払いも可能となっています。興味がおありの場合は、厚生労働省のサイトを確認してみてください。

厚生労働省:資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について

第48条 賃金の非常時払い

  労働者又はその収入によって生計を維持する者が、次のいずれかの場合に該当し、そのために労働者から請求があったときは、賃金支払日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払う。
  ① やむを得ない事由によって1週間以上帰郷する場合
  ② 結婚又は死亡の場合
  ③ 出産、疾病又は災害の場合
  ④ 退職又は解雇により離職した場合

📖【解説】

法律で定められた非常時の給与の支払いについての規定です。
あらためて、就業規則(賃金規程)に規定しないこともあります。

第49条 昇給

  昇給は、勤務成績その他が良好な労働者について、毎年  月  日をもって行うものとする。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合は、行わないことがある。

2 顕著な業績が認められた労働者については、前項の規定にかかわらず昇給を行うことがある。

3 昇給額は、労働者の勤務成績等を考慮して各人ごとに決定する。

📖【解説】

昇給は就業規則に必ず記載すべき事項となっています。

モデル規則では、昇給を行う日付が決められていますが、日付を指定せずに〇月や年1回などと規定することも可能です。

🖋️【さらにカスタマイズ】

実際には、昇給だけではなく降給の可能性もあるはずです。

そこで、本条を「昇給」とするのではなく、「給与の見直し」や「給与改定」とし、降給についても規定しておくことをおすすめします。

第50条 昇給

  賞与は、原則として、下記の算定対象期間に在籍した労働者に対し、会社の業績等を勘案して下記の支給日に支給する。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由により、支給時期を延期し、又は支給しないことがある。

 算定対象期間         支給日 
 〇月〇日から〇月〇日まで   〇月〇日
 〇月〇日から〇月〇日まで   〇月〇日

2 前項の賞与の額は、会社の業績及び労働者の勤務成績などを考慮して各人ごとに決定する。

📖【解説】

賞与に関する規定です。モデル規則では支給日が日付まで明記されていますが、〇月と支給月だけを明記することも可能です。

🖋️【さらにカスタマイズ】

モデル規則では、支給対象者を支給日に在籍しているスタッフに限定していません。そのため、支給日に在籍していることを支給の要件として規定することをおすすめします。

支給日に在籍していることを支給要件としていない場合、退職したスタッフから賞与を請求されるおそれがあります。

参考:大和銀行事件(最高裁 昭57.10.7)
この裁判では、「支給日に在籍している」という要件を明確にしている場合は、退職した社員には賞与請求の権利はないと判断しています。

第51条 定年等

【定年を満70歳とする例】

労働者の定年は、満70歳とし、定年に達した日の属する月の末日をもって退職とする。

【定年を満65歳とし、その後希望者を継続雇用する例】

  労働者の定年は、満65歳とし、定年に達した日の属する月の末日をもって退職とする。

2 前項の規定にかかわらず、定年後も引き続き雇用されることを希望し、解雇事由又は退職事由に該当しない労働者については、満70歳までこれを継続雇用する。

【定年を満60歳とし、その後希望者を継続雇用する例(満65歳以降は対象者基準あり

  労働者の定年は、満60歳とし、定年に達した日の属する月の末日をもって退職とする。

2 前項の規定にかかわらず、定年後も引き続き雇用されることを希望し、解雇事由又は退職事由に該当しない労働者については、満65歳までこれを継続雇用する。

3 前項の規定に基づく継続雇用の満了後に、引き続き雇用されることを希望し、解雇事由又は退職事由に該当しない労働者のうち、次の各号に掲げる基準のいずれにも該当する者については、満70歳までこれを継続雇用する。
  ① 過去○年間の人事考課が○以上である者
  ② 過去○年間の出勤率が○%以上である者
  ③ 過去○年間の定期健康診断結果を産業医が判断し、業務上、支障がないと認められた者

【定年を満65歳とし、その後希望者の意向を踏まえて継続雇用又は業務委託契約を締結する例(ともに対象者基準あり)】

   労働者の定年は、満65歳とし、定年に達した日の属する月の末日をもって退職とする。

2 前項の規定にかかわらず、定年後も引き続き雇用されることを希望し、解雇事由又は退職事由に該当しない労働者のうち、次の各号に掲げる基準のいずれにも該当する者については、満70歳までこれを継続雇用する。
  ① 過去○年間の人事考課が○以上である者
  ② 過去○年間の出勤率が○%以上である者
  ③ 過去○年間の定期健康診断結果を産業医が判断し、業務上、支障がないと認められた者

3 第1項の規定にかかわらず、定年後に業務委託契約を締結することを希望し、解雇事由又は退職事由に該当しない者のうち、次の各号に掲げる業務について、業務ごとに定める基準のいずれにも該当する者については、満70歳までこれと業務委託契約を継続的に締結する。なお、当該契約に基づく各業務内容等については、別途定める創業支援等措置の実施に関する計画に定めるところによるものとする。
(1)○○業務においては、次のいずれの基準にも該当する者
  ① 過去○年間の人事考課が○以上である者
  ② 当該業務に必要な○○の資格を有している者
(2)△△業務においては、次のいずれの基準にも該当する者
  ① 過去○年間の人事考課が○以上である者
  ② 定年前に当該業務に○年以上従事した経験及び当該業務を遂行する能力があるとして以下に該当する者
   ア ○○○○
   イ △△△△

📖【解説】

モデル規則では、定年規定の例として複数のパターンを例示していますが、実は、すべての例が法律の最低要件を上回った内容となっています。

積極的に高齢者にも働いてもらいたいという場合は良いですが、そうではない場合は注意が必要です。

定年に関する要件で最低限満たさなければならないのは以下の事項です。
・定年年齢は最低でも60歳
・定年後、65歳まで勤務可能な継続雇用制度を設ける

🖋️【さらにカスタマイズ】

【定年に関する法律最低要件をきっちりと満たしたい場合の規定例】

1 従業員は、満60歳に到達した日(60歳誕生日の前日)の属する月の賃金締切日をもって定年退職とする。

2 前項にかかわらず、本人が定年後も継続して勤務をすることを希望し、本規則に定める当然退職、または普通解雇に該当する事由のない者については、原則として1年以内の契約期間を定めた嘱託社員として、満65歳に達する日までを限度に継続雇用する。

3 嘱託社員として継続雇用を希望する者は、定年退職日の〇か月前までに会社に申し出なければならない。

4 嘱託社員の労働条件は、個別の労働契約で定める。また、労働条件は契約更新の都度見直しを行い、嘱託社員が会社の提示する労働条件に合意した場合のみ、新たな契約を締結する。

定年の日付をいつにするかは任意です。おすすめは、給与締日に合わせることです。これにより、給与の日割計算をしなくて済みます。

第52条 退職

  前条に定めるもののほか、労働者が次のいずれかに該当するときは、退職とする。
  ① 退職を願い出て会社が承認したとき、又は退職願を提出して〇日を経過したとき
  ② 期間を定めて雇用されている場合、その期間を満了したとき
  ③ 第9条に定める休職期間が満了し、なお休職事由が消滅しないとき
  ④ 死亡したとき

2 労働者が退職し、又は解雇された場合、その請求に基づき、使用期間、業務の種類、地位、賃金又は退職の事由を記載した証明書を遅滞なく交付する。

📖【解説】

1項1号:期間の定めのない雇用(主に正社員)の場合、退職を申し出をした日から14日経過すると退職となります。(民法第627条第1項

この場合、会社の承認は不要です。

1項2号:就業規則の対象者が正社員(期間の定めのない雇用契約)のみの場合は、対象者がいないため不要な規定となります。

🖋️【さらにカスタマイズ】

1.退職の申し出期限

モデル規則では、退職の申し出の期限を定めていません。そのため、退職の申し出期限を追加します。

規定例:従業員が自己都合で退職しようとするときは、退職予定日の〇日前までに△△に退職の届け出をするものとする。(届け出をしなければならない。)

この規定があったとしても、法律上は前述のとおり、退職を申し出をした日から14日経過すれば退職となりますが、実務上は申し出期限を設けておきます。
当事務所の肌感覚では、30日前が最も多い印象です。

2.行方不明(音信不通)の場合

スタッフが、連絡なく出勤をしなくなり、こちらからの連絡に応答しない。というケースがあります。

この場合、安易に退職扱いにしてしまうと、後々、「退職すると言っていないのに辞めさせられたから、解雇だ。」と訴えられるリスクがあります。

そこで、行方不明になった場合の取り扱いについて規定をしておきます。

規定例:会社に連絡がなく30日が経過してもなお、所在不明のとき

第53条 解雇

  労働者が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。
  ① 勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、労働者としての職責を果たし得ないとき。
  ② 勤務成績又は業務能率が著しく不良で、向上の見込みがなく、他の職務にも転換できない等就業に適さないとき。
  ③ 業務上の負傷又は疾病による療養の開始後3年を経過しても当該負傷又は疾病が治らない場合であって、労働者が傷病補償年金を受けているとき又は受けることとなったとき(会社が打ち切り補償を支払ったときを含む。)。
  ④ 精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき。
  ⑤ 試用期間における作業能率又は勤務態度が著しく不良で、労働者として不適格であると認められたとき。
  ⑥ 第68条第2項に定める懲戒解雇事由に該当する事実が認められたとき。
  ⑦ 事業の運営上又は天災事変その他これに準ずるやむを得ない事由により、事業の縮小又は部門の閉鎖等を行う必要が生じ、かつ他の職務への転換が困難なとき。
  ⑧ その他前各号に準ずるやむを得ない事由があったとき。

2 前項の規定により労働者を解雇する場合は、少なくとも30日前に予告をする。予告しないときは、平均賃金の30日分以上の手当を解雇予告手当として支払う。ただし、予告の日数については、解雇予告手当を支払った日数だけ短縮することができる。

3 前項の規定は、労働基準監督署長の認定を受けて労働者を第67条第1項第4号に定める懲戒解雇にする場合又は次の各号のいずれかに該当する労働者を解雇する場合は適用しない。
  ① 日々雇い入れられる労働者(ただし、1か月を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)
  ② 2か月以内の期間を定めて使用する労働者(ただし、その期間を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)
  ③ 試用期間中の労働者(ただし、14日を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)

4 第1項の規定による労働者の解雇に際して労働者から請求のあった場合は、解雇の理由を記載した証明書を交付する。

📖【解説】

1項:解雇事由を明記しています。解雇をする場合は、必ず解雇事由を明示しておかなければなりません。

どのような事由を解雇事由とするかの制限はありませんが、解雇は、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利の濫用として無効となります。」
労働契約法第16条

2項:解雇をする場合の手続きについての規定(解雇予告)です。この手続きを踏まずに解雇を行うと法律違反となります。

3項:2項の解雇予告が不要になる場合の規定です。

解雇予告が不要になるだけであって、解雇そのものがすべて有効になるわけではありません。そのため、解雇事由とその客観的・合理的な理由、社会通念上の相当性は必要です。

🖋️【さらにカスタマイズ】

1項:解雇事由の中に”著しく”という文言が使われていますが、これは削除した方が良いです。この文言があることで、解雇相当のハードルが上がる可能性があるからです。

追加を検討:役職者としての能力や、一定以上の技術や経験などを期待して採用したものの、その期待に満たないケースがあります。そのときの解雇事由として、以下のような事由を追加することを検討します。

解雇事由の例:特定の地位、職種または一定の能力を条件として雇い入れられた者で、その能力または適格性が欠けると認められるとき

解雇によるトラブルを防ぐため、解雇は最終的な手段と位置付けましょう。解雇の前に話し合いによる合意退職を実現することで、トラブルを防ぐことにつながります。

トラブルなく円満に退職してもらうための「退職合意書」の作り方と記載例

第54条 退職金の支給

  労働者が退職し又は解雇されたときは、この章に定めるところにより退職金を支給する。ただし、第68条第2項により懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しないことがある。

2 継続雇用制度の対象者については、定年時に退職金を支給することとし、その後の再雇用については退職金を支給しない。

📖【解説】

退職金の支給は任意です。退職金制度を導入する場合は、就業規則とは別に退職金規程を作成することが多いです。

退職金の支給対象者を勤続年数などによって制限することも可能です。
「退職金は勤続〇年以上の者に対して支給する。」など。

退職金の対象者を正社員のみとする場合は必ずその旨を明記しておきましょう。

懲戒解雇の場合の退職金の減額や不支給について。
→全額不支給についてはかなりハードルが高いです。

「退職金全額を不支給とするには、それが当該労働者の永年の勤続の功を抹消してしまうほどの重大な不信行為があることが必要である。ことに、それが職務外の非違行為である場合には、業務上横領のような犯罪行為に匹敵するような強度な背信性を有することが必要である。」
小田急電鉄(退職金)事件(H15.12.11東京高判) 厚生労働省「確かめよう労働条件」より抜粋)

第55条 退職金の額

  退職金の額は、退職又は解雇の時の基本給の額に、勤続年数に応じて定めた下表の支給率を乗じた金額とする。

勤続年数支給率
5年未満 1.0
5年~10年3.0
11年~15年5.0
16年~20年7.0
21年~25年10.0
26年~30年15.0
31年~35年17.0
36年~40年20.0
41年~25.0

2 第9条により休職する期間については、会社の都合による場合を除き、前項の勤続年数に算入しない。

📖【解説】

退職金の計算方法は任意に設定できます。基本給を基準にする必要はありません。

「基本給を上げると、退職金が増えるから。」という経営者の声を聞くことがあります。基本給基準の退職金制度は、このような一面もあるため、慎重に検討することが必要です。

🖋️【さらにカスタマイズ】

退職金制度の構築に、中小企業退職金共済企業型確定拠出型年金(企業型DC)などを活用する方法もあります。

企業型確定拠出年金(企業型DC)の基礎完全ガイド|小規模事業所でも導入できる制度の全て

第56条 退職金の支払方法及び支払時期

退職金は、支給事由の生じた日から〇か月以内に、退職した労働者(死亡による退職の場合はその遺族)に対して支払う。

📖【解説】

退職金の支払方法、支払時期は任意に決めることができます。

第57条 無期労働契約への転換

  期間の定めのある労働契約(有期労働契約)で雇用する従業員のうち、通算契約期間が5年を超える従業員は、別に定める様式で申込むことにより、現在締結している有期労働契約の契約期間の末日の翌日から、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)での雇用に転換することができる。

2 前項の通算契約期間は、平成25年4月1日以降に開始する有期労働契約の契約期間を通算するものとする。ただし、契約期間満了に伴う退職等により、労働契約が締結されていない期間が連続して6ヶ月以上ある従業員については、それ以前の契約期間は通算契約期間に含めない。

3 この規則に定める労働条件は、第1項の規定により無期労働契約での雇用に転換した後も引き続き適用する。ただし、無期労働契約へ転換した時の年齢が、第51条に規定する定年年齢を超えていた場合は、当該従業員に係る定年は、満〇歳とし、定年に達した日の属する月の末日をもって退職とする。

📖【解説】

有期雇用契約のスタッフの契約期間が通算で5年を超えた場合、そのスタッフが希望すれば、次の契約からは無期雇用契約に転換できる規定です。

いわゆる「5年ルール」と呼ばれるもので、平成25年4月1日から施行されています。

パートタイマーなど有期契約のスタッフに関しての別規程がある場合は、そちらの規程に明記します。正社員のみに適用される就業規則への明記は不要です。

🖋️【さらにカスタマイズ】

無期転換した場合の労働条件について明記しておくと良いです。

規定例:無期転換した際の労働条件は、直前の有期雇用契約と同内容とする。

5年ルールについての参考サイト:
厚生労働省「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」

第58条 遵守事項

  会社は、労働者の安全衛生の確保及び改善を図り、快適な職場の形成のために必要な措置を講ずる。

2 労働者は、安全衛生に関する法令及び会社の指示を守り、会社と協力して労働災害の防止に努めなければならない。

3 労働者は安全衛生の確保のため、特に下記の事項を遵守しなければならない。
  ① 機械設備、工具等の就業前点検を徹底すること。また、異常を認めたときは、速やかに会社に報告し、指示に従うこと。
  ② 安全装置を取り外したり、その効力を失わせるようなことはしないこと。
  ③ 保護具の着用が必要な作業については、必ず着用すること。
  ④ 20歳未満の者は、喫煙可能な場所には立ち入らないこと。
  ⑤ 受動喫煙を望まない者を喫煙可能な場所に連れて行かないこと。
  ⑥ 立入禁止又は通行禁止区域には立ち入らないこと。
  ⑦ 常に整理整頓に努め、通路、避難口又は消火設備のある所に物品を置かないこと。
  ⑧ 火災等非常災害の発生を発見したときは、直ちに臨機の措置をとり、○○に報告し、その指示に従うこと。

📖【解説】

3項に特に医院で注意して欲しいことや遵守してほしいことを追加しても良いです。

第59条 健康診断

  労働者に対しては、採用の際及び毎年1回(深夜労働に従事する者は6か月ごとに1回)、定期に健康診断を行う。

2 前項の健康診断のほか、法令で定められた有害業務に従事する労働者に対しては、特別の項目について、定期に健康診断を行う。

3 第1項及び前項の健康診断の結果必要と認めるときは、一定期間の就業禁止、労働時間の短縮、配置転換その他健康保持上必要な措置を命ずることがある。

📖【解説】

定期健康診断に関する規定です。規定のとおりに健康診断を受診させなければなりません。

小規模な事業所では、採用時の健康診断を実施されておられないケースがよくあります。

例外として、新規採用者が、採用前3か月以内に健康診断を受診していて、その診断結果の証明書類を提出した場合は、採用時の健康診断を省略することができます。
(法定の診断項目に抜けがある場合は、その項目については診断が必要です。)

パートタイマーなどでも、1年以上継続勤務し、週の所定労働時間が正社員の所定労働時間数の4分の3以上の場合は、健康診断の実施が必要です。

🖋️【さらにカスタマイズ】

小規模な事業所の場合、健康診断を一斉に受診することは難しため、個別に受診してもらうことが多いですが、健康診断を受診しないスタッフがいることがあります。

そのため、健康診断を受診しない場合の取り扱いを規定しておくと良いです。

規定例:従業員が、正当な理由なく定期健康診断を受診しない場合、本規則の第〇条の規定により懲戒処分とすることがある。

定期健康診断の費用は、事業主が負担しなくてはなりませんが、異常の所見があった場合の再検査や精密検査については、本人負担でも差し支えありません。

第60条 長時間労働者に対する面接指導

  会社は、労働者の労働時間の状況を把握する。

2 長時間の労働により疲労の蓄積が認められる労働者に対し、その者の申出により医師による面接指導を行う。

3 前項の面接指導の結果必要と認めるときは、一定期間の就業禁止、労働時間の短縮、配置転換その他健康保持上必要な措置を命ずることがある。

📖【解説】

1週間当たり40時間を超えて労働した時間(40時間を超えた分の時間のみ)が、1か月当たり80時間を超えて、かつ、疲労の蓄積が認められるスタッフについて、本人の申出があれば医師による面接指導を行わなければなりません。

🖋️【さらにカスタマイズ】

2項の規定は努力義務であることから、面接指導の対象者が解説の基準であることを明記してしまうのも一つの方法です。

第61条 ストレスチェック

  労働者に対しては、毎年1回、定期に、医師、保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を行う。

2 前項のストレスチェックの結果、ストレスが高く、面接指導が必要であると医師、保健師等が認めた労働者に対し、その者の申出により医師による面接指導を行う。

3 前項の面接指導の結果必要と認めるときは、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等、必要な措置を命ずることがある。

📖【解説】

ストレスチェックについての規定です。現在(2026年1月現在)は、スタッフ数50人以上の事業場に対して法律が施行されています。

2025年の5月の法改正で、50人未満の事業場でも実施の義務化はされていますが、施行はまだされていない状況です。(公布後3年以内の施行とされています。)

参考:労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律について

🖋️【さらにカスタマイズ】

スタッフ数50人未満の事業場に該当し、ストレスチェックの実施を今は行わないのであれば、この規定は削除しておきます。

厚生労働省から「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル (素案)」が公開されていますので、今のうちからチェックしておきましょう。

第62条 労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱い

事業者は労働者の心身の状態に関する情報を適正に取り扱う。

📖【解説】

安全衛生法で、事業者(事業主)にこのような義務が課せられています。

第63条 安全衛生教育

  労働者に対し、雇入れの際及び配置換え等により作業内容を変更した場合、その従事する業務に必要な安全及び衛生に関する教育を行う。

2 労働者は、安全衛生教育を受けた事項を遵守しなければならない。

📖【解説】

法律に規定されていることではありますが、実務において当然に実施されることですので、労使双方確認のための規定と言えます。

第64条 災害補償

  労働者が業務上の事由又は通勤により負傷し、疾病にかかり、又は死亡した場合は、労基法及び労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)に定めるところにより災害補償を行う。

📖【解説】

業務や通勤が原因で、スタッフが負傷した場合や、病気にかかった場合は、医院が治療費などを負担しなければならいのが原則です。

ただし、スタッフが労災保険から給付を受けることで、医院はその負担をしなくとも良いということになっています。

🖋️【さらにカスタマイズ】

精神的な損害に対する賠償など、労災保険の給付だけではカバーできない事案も増えてきています。

民間の損害保険会社の労災の上乗せ保険に加入することを検討することも視野にいれてください。

第65条 教育訓練

  会社は、業務に必要な知識、技能を高め、資質の向上を図るため、労働者に対し、必要な教育訓練を行う。

2 労働者は、会社から教育訓練を受講するよう指示された場合には、特段の事由がない限り教育訓練を受けなければならない。

3 前項の指示は、教育訓練開始日の少なくとも〇週間前までに該当労働者に対し文書で通知する。

📖【解説】

教育訓練に関しての規定ですが、このような規定がない場合でも、労働契約に基づいて教育訓練受講などの指示をすることは可能と解されます。

🖋️【さらにカスタマイズ】

助成金の種類にによっては、「新たに研修制度などを設けて就業規則に規定をする。」という受給要件が設定されていることがあります。
この場合、モデルのような包括的な規定であっても、すでに研修制度が規定済みのため、要件を満たなさないと判断されることがあります。(実際、過去にありました。)

助成金の受給要件はその都度変更になりますので、申請をする前にハローワークや労働局に問い合わせや相談をしてください。

第66条 表彰

  会社は、労働者が次のいずれかに該当するときは、表彰することがある。
  ① 業務上有益な発明、考案を行い、会社の業績に貢献したとき。
  ② 永年にわたって誠実に勤務し、その成績が優秀で他の模範となるとき。
  ③ 永年にわたり無事故で継続勤務したとき。
  ④ 社会的功績があり、会社及び労働者の名誉となったとき。
  ⑤ 前各号に準ずる善行又は功労のあったとき。

2 表彰は、原則として会社の創立記念日に行う。また、賞状のほか賞金を授与する。

📖【解説】

表彰に関する規定ですが、実際にこのような表彰をするのかどうかを検討してから規定してください。

🖋️【さらにカスタマイズ】

せっかく表彰制度を導入するのであれば、本当にスタッフが”うれしい”と思える制度にしましょう。

表彰制度の例:
・「勤続〇年で特別休暇を〇日付与」
・「(美容室)店長就任時には、オーナーが選んだハサミをプレゼント」など

第67条 懲戒の種類

 会社は、労働者が次条のいずれかに該当する場合は、その情状に応じ、次の区分により懲戒を行う。
 ①けん責
 始末書を提出させて将来を戒める。
 
 ②減給
 始末書を提出させて減給する。ただし、減給は1回の額が平均賃金の1日分の5割を超えることはなく、また、総額が1賃金支払期における賃金総額の1割を超えることはない。
 
 ③出勤停止
 始末書を提出させるほか、〇日間を限度として出勤を停止し、その間の賃金は支給しない。

 ④懲戒解雇
予告期間を設けることなく即時に解雇する。この場合において、所轄の労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告手当(平均賃金の30日分)を支給しない。

📖【解説】

懲戒処分を行うためには、この条のように懲戒処分の種類と次の状の懲戒処分を行う事由を定めておかなければなりません。(罪刑法定主義の考え方)

懲戒処分は、組織の秩序を保つために必要です。また、解雇を行うまでのプロセスとしての役割もあります。

懲戒処分を科すなどして、スタッフに反省や改善をうながしてきたという事実が大切になります。

②減給:

法律で減給1回の額は、平均賃金の1日分の半分以下で、1か月の給与額の1割以下とされています。

③出勤停止:

出勤停止期間の上限は、法律では定められていません。現実的には、30日停止となると1月分の給与が支給されないことになりますので、7日~14日程度が上限かと考えます。

🖋️【さらにカスタマイズ】

懲戒処分の種類に決まりはありません。モデル規則に追加して以下の種類を追加することもあります。

降格:

職位を解任したり、引き下げる懲戒処分です。出勤停止よりも重い処分です。

諭旨(ゆし)解雇:

懲戒解雇相当の事由があるときに、本人が事実を認め反省をしていると認められれば、情状酌量で普通解雇(自主退職を認めることも)とすることです。懲戒解雇の次に重い処分です。

第68条 懲戒の事由

 労働者が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、減給又は出勤停止とする。
 ① 正当な理由なく無断欠勤が〇日以上に及ぶとき。
 ② 正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退をしたとき。
 ③ 過失により会社に損害を与えたとき。
 ④ 素行不良で社内の秩序及び風紀を乱したとき。
 ⑤ 第11条、第12条、第13条、第14条、第15条に違反したとき。
 ⑥ その他この規則に違反し又は前各号に準ずる不都合な行為があったとき。

2 労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第53条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停止とすることがある。
 ① 重要な経歴を詐称して雇用されたとき。
 ② 正当な理由なく無断欠勤が〇日以上に及び、出勤の督促に応じなかったとき。
 ③ 正当な理由なく無断でしばしば遅刻、早退又は欠勤を繰り返し、〇回にわたって注意を受けても改めなかったとき。
 ④ 正当な理由なく、しばしば業務上の指示・命令に従わなかったとき。
 ⑤ 故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき。
 ⑥ 会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が 明らかとなったとき(当該行為が軽微な違反である場合を除く。)。
 ⑦ 素行不良で著しく社内の秩序又は風紀を乱したとき。
 ⑧ 数回にわたり懲戒を受けたにもかかわらず、なお、勤務態度等に関し、改善の見込みがないとき。
 ⑨ 第12条、第13条、第14条、第15条に違反し、その情状が悪質と認められるとき。
 ⑩ 許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用したとき。
 ⑪ 職務上の地位を利用して私利を図り、又は取引先等より不当な金品を受け、若しくは求め若しくは供応を受けたとき。
 ⑫ 私生活上の非違行為や会社に対する正当な理由のない誹謗中傷等であって、会社の名誉信用を損ない、業務に重大な悪影響を及ぼす行為をしたとき。
 ⑬ 正当な理由なく会社の業務上重要な秘密を外部に漏洩して会社に損害を与え、又は業務の正常な運営を阻害したとき。
 ⑭ その他前各号に準ずる不適切な行為があったとき。

📖【解説】

1項①:無断欠勤の場合、日数を明記しない方が対応がしやすいです。なお、2項①の懲戒解雇の場合は、”14日”という一つの基準があります。

厚生労働省の「労働者の責めに帰すべき理由として認定すべき事由」の一つに入っています。
参考:福井労働局「解雇予告除外認定の申請について」

裁判例:2週間にわたる無断欠勤での懲戒解雇が有効(開隆堂出版事件(東京地裁・平成12.10.27))

1項②:「しばしば」という文言は削除します。複数回の実績がない限りは懲戒処分が行えないことになります。

2項③:注意の回数は明記しないようにします。必ずその回数の1項①:がなければ懲戒処分が行えません。

🖋️【さらにカスタマイズ】

追加を検討すべき項目:

1.自宅待機命令

証拠隠滅のおそれがある場合には、自宅待機を指示できるようにしておきます。

2.教唆・ほう助を行った場合

他者をそそのかんしたり、他者の手助けをした場合も懲戒処分の対象となることを明記します。

3.処分の加重を行う場合

すでに懲戒処分を受けたスタッフが、例えば1年以内にさらに懲戒処分に該当する行為を行った場合や同時に複数の懲戒処分に該当する行為を行った場合に、処分を重くすることを明記します。

1つの行為に対して、複数の懲戒処分を科したり、後から処分を重くすることはできません。

第69条 公益通報者の保護

会社は、労働者から組織的又は個人的な法令違反行為等に関する相談又は通報があった場合には、別に定めるところにより処理を行う。

📖【解説】

公益通報者保護に関する規定ですが、現在(2026年1月現在)スタッフ数が300人以下の企業には、内部規定の作成は義務化されていません。

この規定をこのまま使うと、別に定める規定が必要となりますので注意してください。

🖋️【さらにカスタマイズ】

スタッフ数300人以下の場合の必要最低限の規定は以下のようになります。

規定例:従業員が法令遵守を目的として公益通報を行った場合、会社は公益通報者保護法に基づき、当該通報者に対し不利益な取り扱いを行わない。

公益通報者保護制度の詳細はこちら、「消費者庁:公益通報者保護制度

第70条 兼業・副業

  労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。

2 会社は、労働者からの前項の業務に従事する旨の届出に基づき、当該労働者が当該業務に従事することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止又は制限することができる。
  ① 労務提供上の支障がある場合
  ② 企業秘密が漏洩する場合
  ③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
  ④ 競業により、企業の利益を害する場合

📖【解説】

モデル規則では、原則、兼業や副業が可能な規定となっています。

🖋️【さらにカスタマイズ】

少し規定の仕方を変えて、原則、兼業や副業は許可制とすることも可能です。

規定例:従業員は、会社の許可なく他に雇用され、または事業を行ってはならない。
そして、モデル規則の2項のような場合は、許可を出さないと規定しておきます。

現在(2026年1月19日現在)、労働基準法第38条1項「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」の規定により、別の医院や企業で働いた場合の労働時間を通算することが原則となっています。

労働時間の通算については、企業単位で労働時間を計算・支払いをする形へ変更する方向で見直しが検討されています。

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社会保険労務士×生成AI活用アドバイザー 小西朋安
小西 朋安社会保険労務士×生成AI活用アドバイザー
社労士歴19年で、元プログラマーの異色キャリア。 わかりやすい就業規則の作成・経営理念の策定・浸透支援など、職場のあり方づくりに長年取り組んでいる。 近年は、GPTsを活用した求人原稿作成ツールや業務支援AIを自ら開発し、飲食店、美容室、歯科医院などの生成AI活用を積極的に支援している。