歯科医院を経営されている院長先生。
この季節(1月に執筆)、インフルエンザに罹患するスタッフさんが出てきていませんでしょうか?
そして、「スタッフがインフルエンザに罹患した場合、医院としてどう対応すればいいのか?」とお悩みではありませんか?
そこでこの記事では、社労士×生成AI活用アドバイザーの視点から、歯科医院におけるインフルエンザ等の感染症罹患時の具体的な対応方法を詳しく解説します。
この記事でわかること
- インフルエンザ罹患時の法的な出勤停止期間は?
- 歯科医院での具体的な対応手順
- 休業期間中の給与の扱い方
目次
インフルエンザ罹患時の基礎知識
法的な出勤停止期間の有無
結論として、成人の季節性インフルエンザには法律上の出勤停止義務はありません。
インフルエンザは感染症法上の「5類感染症」に位置づけられており、就業制限の対象とはされていないためです。
ただし、歯科医院のような医療機関では、患者さんへの感染リスクを考慮して、一般企業よりも厳格な対応が求められます。
推奨される休業期間の目安
多くの医療機関では、学校保健安全法の基準(学校保健安全法施行規則)を参考に以下の期間を休業期間として設定しています。
「発症後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」
復帰には、この2つの条件を両方満たす必要があります。
歯科医院での具体的な対応手順
ステップ1:スタッフからの連絡を受けたら
スタッフから発熱や体調不良の連絡を受けたら、まず以下の情報を確認します。
- 症状の詳細: 発熱の有無、体温、その他の症状(咳、のどの痛みなど)
- 発症日時: いつから症状が出始めたか
- 受診予定: いつ医療機関を受診する予定か
この段階では「自主的に休む」ことを促します。院長からの「指示」ではなく、スタッフの自主的な判断による休業=通常の欠勤として扱います。
院長からの指示の場合、医院都合による休業となり、休業手当(平均賃金の60%以上)の支払いが必要となります。
ステップ2:医療機関受診後の対応
スタッフがインフルエンザと診断された場合、以下のように対応します。
| 確認事項 | 対応内容 |
|---|---|
| 診断結果 | インフルエンザの型(A型・B型)を確認 |
| 治療内容 | 抗インフルエンザ薬の処方有無を確認 |
| 休業期間の説明 | 医療機関から伝えられた復職の基準を確認する。 |
| 連絡方法の確認 | 療養中の報告方法(LINEやメールなど)を決める |
ステップ3:療養期間中の管理
スタッフの体調を適切に把握するため、以下の記録をつけてもらいます。
- 体温の記録: 朝・夕の体温を記録(解熱の判断に必要)
- 症状の経過: 咳やのどの痛みなどの症状の変化
- 服薬状況: 抗インフルエンザ薬の服用状況
解熱とは、解熱剤を使用せずに平熱(一般的には36.5℃前後)に戻った状態を指します。一時的に下がっても再び上がることがあるため、注意深く観察が必要です。
ステップ4:復帰の判断と確認
復帰前に以下のチェックリストで確認します。(スタッフが受診した医療機関から別の判断基準が示されている場合は、そちらに従います。)
厚生労働省は、医療機関の負担軽減のため、治癒証明書や陰性証明書の提出を求めないように要請しています。そのため、証明書は原則不要とします。
ステップ5:復帰後の注意点
復帰後も、発症から10日程度まではマスクの着用を推奨します。また、無理をせず、体調に異変を感じたらすぐに報告するよう伝えましょう。
休業期間中の給与の扱い
休暇の種類と給与支払いの考え方
インフルエンザでの休業は、就業規則の定めによって扱いが異なります。
| 休暇の種類 | 給与支払い | 備考 |
|---|---|---|
| 年次有給休暇 | 全額支給 | スタッフが希望した場合のみ |
| 特別休暇(病気休暇) | 就業規則による | 規定がある場合に適用 |
| 欠勤 | 無給 | スタッフが自主的に休んだ場合 |
| 会社都合の休業 | 休業手当60%以上 | 院長が出勤を禁止した場合 |
小規模な歯科医院では、年次有給休暇もしくは、欠勤としての取り扱いがほとんどです。
推奨される対応
歯科医院として、以下のいずれかの方法をおすすめします。
- 特別休暇制度の導入: インフルエンザなどの感染症による休業を「特別休暇(有給)」として就業規則に定める
- 年次有給休暇の活用: スタッフが希望する場合、年次有給休暇を使用できるようにする
- 傷病手当金の案内: 有給休暇がない場合、健康保険の傷病手当金制度を案内する(歯科医師国保の場合は、加入している組合によって制度が異なるので、確認が必要です。)
協会けんぽの傷病手当金の場合、欠勤した最初の3日日は、待機期間となり傷病手当金は支給されません。そのため、最初の3日間は有給休暇を消化したいというスタッフが多いです。
協会けんぽHP:「傷病手当金|こんな時に健保」
家族が罹患した場合の対応
濃厚接触者としての扱い
スタッフの同居家族などがインフルエンザに罹患した場合、法律上の出勤停止義務はありません。ただし、歯科医院では以下の対応を検討します。
- 報告義務: 家族が罹患した場合は速やかに報告してもらう
- 体調観察: 出勤する場合は、毎朝の体温測定を実施
- 感染対策の徹底: マスク着用、手洗いの徹底
- 自宅待機の検討: 可能であれば2〜3日程度の自宅待機を検討
医院の判断で自宅待機を命じた場合は、休業手当(平均賃金の60%以上)の支払いが必要となります。
予防内服の検討
家族が罹患したスタッフには、抗インフルエンザ薬の予防内服を案内することも一つの選択肢です。ただし、予防内服は保険適用外のため、費用負担について事前に説明が必要です。
医院での感染予防対策
日常的な予防策
釈迦に説法ではありますが、インフルエンザの流行期には、以下の対策を徹底してください。
- 出勤時の健康チェック: 体温測定、体調確認を実施
- 手洗いの徹底: 診療開始前、患者さんごと、食事前などに実施
- マスクの適切な使用: 診療中は常時着用
- 換気の実施: 1時間に1回、5〜10分程度の換気
- 環境消毒: ドアノブ、スイッチなど頻繁に触れる場所の消毒
ワクチン接種の推奨
スタッフ全員にインフルエンザワクチンの接種を推奨します。医院として接種費用の一部または全額を負担することで、接種率の向上が期待できます。
神戸市では小児や高齢者に対するインフルエンザワクチンの助成制度がありますので、該当する患者さんへの案内も併せて行うとよいのではないでしょうか?
社労士が教える労務管理のポイント
院内ルールの明確化が重要
インフルエンザ等の感染症罹患時の対応について、院内のルールとして明確に定めておくことが重要です。
明確にすべき事項
- インフルエンザ罹患時の報告義務
- 出勤停止期間の基準(目安:発症後5日かつ解熱後2日)
- 医師の診断を受ける義務
- 休業期間中の給与の扱い
- 家族が罹患した場合の報告義務
安全配慮義務を果たす
歯科医院には、労働契約法第5条に基づく安全配慮義務があります。インフルエンザに罹患したスタッフに出勤を強要することは、この義務に違反する可能性があります。
私が言うまでもないことですが、患者さんへの感染リスクも考慮すると、適切な休業期間を設けることが医院の社会的責任といえます。
記録の保存
インフルエンザ罹患の記録は、以下の理由から適切に保存しておくことをおすすめします。
- 労災認定の際の参考資料となる
- 感染拡大時の経路調査に役立つ
- 適切な対応を行った証明となる
よくある質問
まとめ:適切な対応で医院とスタッフを守る
本記事では、歯科医院におけるインフルエンザ等の感染症罹患時の対応について詳しく解説しました。
重要ポイント
- 推奨される休業期間は「発症後5日かつ解熱後2日」
- 治癒証明書は原則不要
- 就業規則への明記と適切な記録保存が重要
- スタッフの健康管理が患者さんの安全につながる
歯科医院の院長先生が、自分もスタッフも働きたくなる組織づくりを実現し、患者さんに安心して通っていただける医院運営ができるよう、適切な感染症対策を実践していきましょう。
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