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歯科医師国保と社会保険どっちを選ぶ?|制度の違いや保険料負担を詳細解説

歯科医師国保と社会保険どっちを選ぶ?

兵庫県内で歯科医院を経営されている院長先生。

「歯科医師国保と社会保険、どちらを選べばスタッフにとってベストなのか?」
「保険料負担を考えると、医院経営にはどちらが有利なのか?」

こうした疑問をお持ちではないでしょうか。

歯科医院の保険制度選択は、スタッフの福利厚生と医院経営の両面に大きな影響を与える重要な決断です。

特にスタッフ数が5名前後の歯科医院では、選択次第で年間数十万円の差が生じることもあります。

そこでこの記事では、兵庫県の歯科医院経営者向けに、社労士×生成AI活用アドバイザーの視点から、歯科医師国保と社会保険の違いを、具体的な保険料シミュレーションも交えながら解説します。

この記事でわかること

  • 歯科医師国保と社会保険(協会けんぽ)の制度の違い
  • 個人事業と法人による社会保険の適用条件
  • 保険料負担の具体的な比較と選び方のポイント
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歯科医師国保と社会保険(協会けんぽ)の基本

歯科医師国保(歯科医師国民健康保険)とは、各都道府県の歯科医師会に所属する歯科医師とその歯科医院で働くスタッフ、そしてその家族が加入できる医療保険制度です。

兵庫県では「兵庫県歯科医師国民健康保険組合」が運営しており、兵庫県歯科医師会の正会員である歯科医師とその医院スタッフ、家族が加入対象となります。

歯科医師国保の最大の特徴は、保険料が収入に関係なく定額であるという点です。

給与が上がっても保険料は変わらないため、高収入のスタッフほど保険料負担が軽くなる傾向があります。

社会保険(協会けんぽ)とは、全国健康保険協会が運営する健康保険制度です。一般企業に勤める会社員が加入する健康保険と同じ制度で、保険料は収入に応じて計算されます。

兵庫県の協会けんぽの健康保険料率は2025年3月分から10.16%となっています。この保険料は事業主とスタッフで折半(労使折半)するため、スタッフの負担は5.08%です。

社会保険に加入すると、必ず厚生年金にも加入することになります。
厚生年金保険料率は18.3%(労使折半で各9.15%)で、将来受け取れる年金額が国民年金のみの場合より大幅に増えます。

個人事業と法人による適用条件の違い

歯科医院が加入できる保険制度は、事業形態と従業員数によって異なります。

  • スタッフ4名以下:歯科医師国保+国民年金が基本。任意で厚生年金に加入することも可能。
  • スタッフ5名以上:社会保険(協会けんぽ+厚生年金)への加入が強制。ただし、適用除外申請により歯科医師国保を継続し、厚生年金のみ加入することも可能

ここでのスタッフ人数のカウントの仕方:以下のどちらかに該当するスタッフを1人と数えます。
●正社員(常勤)
●週の所定労働時間と月の所定労働日数の両方が正社員の4分の3以上のスタッフ

法人化した歯科医院は、スタッフ数に関係なく社会保険への加入が強制されます。

ただし、法人化前から歯科医師国保に加入していた場合は、適用除外申請により継続が可能です。新規で法人を設立した場合は協会けんぽへの加入となります。

なお、個人事業主である院長先生は、協会けんぽには加入できません。歯科医師国保または国民健康保険に加入することになります。

上記の適用条件を踏まえると、歯科医院のスタッフが加入できる保険制度は主に以下の3パターンがあります。

パターン健康保険年金主な対象
パターン①歯科医師国保国民年金個人事業でスタッフ4名以下
パターン②歯科医師国保厚生年金スタッフ5名以上で適用除外申請
または法人化して適用除外申請
パターン③協会けんぽ厚生年金スタッフ5名以上または法人

パターン②の「歯科医師国保+厚生年金」は、健康保険は歯科医師国保の定額保険料のメリットを活かしつつ、年金は厚生年金で将来の保障を確保できる組み合わせです。

このパターンを選ぶには「健康保険被保険者適用除外申請」という手続きが必要です。

社会保険(協会けんぽ)と歯科医師国保の保障内容の違い

両制度の保障内容の違いを表にまとめました。

項目社会保険(協会けんぽ)歯科医師国保
傷病手当金標準報酬月額の2/3を
最長1年6ヶ月支給
加入する歯科医師国保による
出産手当金標準報酬月額の2/3を
産前42日・産後56日支給
加入する歯科医師国保による
産休・育休中の保険料免除される加入する歯科医師国保による
扶養制度あり(扶養家族の保険料不要)なし(家族も保険料が必要)
保険料の労使折半義務(必ず折半)義務なし(全額本人負担も可)

傷病手当金とは、業務外の病気やケガで仕事を休み、給与が支払われない場合に支給される手当です。この制度は両者で大きく異なります。

  • 社会保険(協会けんぽ)の場合:
    連続3日の待機期間後、4日目から最長1年6ヶ月間、標準報酬月額の3分の2が支給されます。長期の病気療養でも収入が途絶えない安心感があります。(自宅療法も可)
  • 歯科医師国保の場合:
    ・傷病手当金は入院した場合のみに限られることあり
    ・支給額1日1,000円〜8,000円程度
    ・支給期間60日〜180日程度

歯科医師国保の場合は、組合ごとに保障内容が大きく異なるので事前確認が必要です。

出産手当金とは、産前産後休業中に給与が支払われない場合に支給される手当です。

  • 社会保険(協会けんぽ)の場合:
    出産予定日前42日から出産後56日までの期間、標準報酬月額の3分の2が支給されます。さらに、産休・育休中は健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。
  • 歯科医師国保の場合:
    出産手当金制度がない組合も少なくなく、産休中は完全に無給となります。また、産休・育休中の保険料免除制度も組合によって対応が異なります。

女性スタッフが多い歯科医院では、この違いは採用・定着に大きく影響します。出産を控えたスタッフにとって、産休中に収入があるかどうかは重大な関心事です。

  • 社会保険(協会けんぽ)の場合:
    配偶者や子どもを扶養に入れることができ、扶養家族の保険料はかかりません。
    年収130万円未満(60歳以上or一定の障害に該当する場合は180万円未満)の家族を扶養に入れられます。
  • 歯科医師国保の場合:
    「扶養」という概念がないため、家族も1人1人が保険料を支払う必要があります。配偶者や子どもがいる場合、その人数分の保険料が発生します。

例えば、配偶者と子ども2人がいるスタッフの場合、歯科医師国保では本人分に加えて家族3人分の保険料(月額数万円)が必要になりますが、協会けんぽでは本人分のみで済みます。

保険料負担の具体的な比較【3パターンでシミュレーション】

ここからは、先ほど説明した3つの保険パターンについて、具体的な保険料を比較します。

2025年度の兵庫県における社会保険料率は以下のとおりです。

保険の種類料率(合計)本人負担医院負担
健康保険(協会けんぽ兵庫)10.16%5.08%5.08%
介護保険(40〜64歳)1.59%0.795%0.795%
厚生年金保険18.3%9.15%9.15%
子ども・子育て拠出金0.36%なし0.36%

歯科医師国保の保険料は組合によって異なりますが、従業員(歯科衛生士・歯科助手等)の場合、月額15,000円〜20,000円程度が一般的です。

月給25万円(標準報酬月額26万円)の40歳以上のスタッフを例に、3パターンの保険料を比較してみましょう。

項目①歯科医師国保
+国民年金
②歯科医師国保
+厚生年金
③協会けんぽ
+厚生年金
健康保険料(本人)約18,000円約18,000円15,275円
年金保険料(本人)17,510円23,790円23,790円
本人負担合計35,510円41,790円39,065円
健康保険料(医院)0円0円15,275円
年金保険料(医院)0円23,790円23,790円
子ども・子育て拠出金0円936円936円
医院負担合計0円24,726円40,001円
合計(本人+医院)35,510円66,516円79,066円

歯科医師国保の保険料は介護保険料を含む金額です。協会けんぽは健康保険料と介護保険料を合算した金額を記載しています。

パターン①(歯科医師国保+国民年金)
医院の経費負担が最も軽くなります。ただし、スタッフの将来の年金は国民年金のみとなり、保障が手薄になります。

パターン②(歯科医師国保+厚生年金)
歯科医師国保の定額保険料メリットを活かしつつ、厚生年金で将来の保障を確保できます。医院負担はパターン③より月額約15,000円安くなります。

パターン③(協会けんぽ+厚生年金)
傷病手当金や出産手当金などの保障が最も充実します。医院負担は最も大きくなりますが、スタッフの採用・定着に有利に働きます。

賞与(ボーナス)に対する保険料は、制度によって大きく異なります。

  • 社会保険(協会けんぽ+厚生年金)の場合:
    賞与にも月給と同じ保険料率がかかります。例えば、20万円の賞与を支給する場合、約3万円の社会保険料(本人負担約1.5万円、医院負担約1.5万円)が発生します。
  • 歯科医師国保+厚生年金の場合:
    健康保険料は賞与に対してかかりませんが、厚生年金保険料と子ども・子育て拠出金は賞与にもかかります。
  • 歯科医師国保+国民年金の場合:
    賞与に対する保険料は一切発生しません。これは両方とも定額制であるためです。

この違いは、賞与を手厚く支給している歯科医院ほど大きな差となります。年間賞与が多い医院では、歯科医師国保の方が保険料負担が軽くなる傾向があります。

厚生年金と国民年金の違い

厚生年金と国民年金では、将来受け取れる年金額に大きな差が生じます。

年金の種類月額受給額の目安特徴
国民年金のみ約68,000円(満額)40年間加入した場合の上限
厚生年金+国民年金約120,000円報酬比例部分が上乗せされる

スタッフの将来の生活を考えると、厚生年金への加入は大きなメリットとなります。

厚生年金+国民年金の目安額は、標準報酬月額26万円で40年間納付した場合です。

歯科医院が保険制度を選ぶ際のポイント

人材確保が課題となっている歯科医院では、社会保険(協会けんぽ+厚生年金)への加入が採用面で有利に働きます。

特に歯科衛生士は人材不足が深刻で、求人倍率が高い状況が続いています。同程度の給与条件であれば、社会保険完備の歯科医院に応募が集まる傾向があります。

傷病手当金や出産手当金、産休・育休中の保険料免除といった保障の充実は、女性が多い歯科業界では特に重要なポイントです。

実際に、社会保険に加入してから採用がしやすくなったという院長先生が多くいらっしゃいます。

経費負担を抑えたい場合は、歯科医師国保が有利です。労使折半の義務がないため、医院側の負担を大幅に軽減できます。

特に「歯科医師国保+厚生年金」のパターン②は、医院負担を協会けんぽの場合より月額約15,000円抑えつつ、スタッフの年金保障を確保できるバランスの良い選択肢です。

ただし、歯科医師国保でもスタッフの保険料の一部を医院が負担している場合もあります。スタッフの要望に応じて柔軟に対応することで、採用面でのデメリットを軽減できます。

歯科医師国保の保険料を医院が負担した場合、医院の経費とすることはできません。また、スタッフにとっては給与扱いとなり、その分税金(所得税と住民税)が増加します。

扶養家族が多いスタッフがいる場合は、社会保険の方がメリットが大きくなります。協会けんぽでは扶養家族の保険料がかからないためです。

一方、独身のスタッフや共働きで扶養家族がいないスタッフが多い場合は、歯科医師国保の方が保険料負担が軽くなる可能性があります。

歯科医師国保と社会保険についてよくある質問・誤解

法人化したら必ず協会けんぽに加入しなければなりませんか?

法人化前から歯科医師国保に加入していた場合は、適用除外申請により継続が可能です。ただし、新規で法人を設立した場合は協会けんぽへの加入となります。

歯科医師国保は「社会保険完備」と言えますか?

歯科業界では、歯科医師国保+厚生年金+雇用保険+労災保険の組み合わせを「社保完備」と表現することがあります。

しかし、厳密な意味での「社保完備」は、協会けんぽ+厚生年金+雇用保険+労災保険を指します。求人を出す際は、どの保険に加入しているかを明記することでトラブルを防げます。

パート・アルバイトも歯科医師国保に加入できますか?

歯科医師国保は、勤務時間に関係なく加入できます。週20時間未満のパートスタッフでも加入が可能です。

一方、社会保険(協会けんぽ・厚生年金)は、週の所定労働時間と月の所定労働日数の両方が正社員の4分の3以上の場合に加入義務が生じます。
(※加入対象となるスタッフ人数が50人以下の場合)

歯科医師国保の医院で治療を受けられますか?

歯科医師国保に加入している場合、自分が勤務する歯科医院では保険適用での治療を受けることができません(自家診療の禁止)。

他の歯科医院であれば、通常どおり3割負担で治療を受けられます。自院での治療については、無料または材料費のみとするなど、医院ごとにルールを定めていることが多いです。

まとめ:歯科医師国保と社会保険、自院に合った選択を

本記事では、歯科医師国保と社会保険(協会けんぽ)の違いについて、保険料シミュレーションを交えながら解説しました。

重要ポイント

  • 歯科医院で選択可能な保険パターンは主に3つ(①歯科医師国保+国民年金、②歯科医師国保+厚生年金、③協会けんぽ+厚生年金)
  • 歯科医師国保は定額制で高収入ほど有利
  • 協会けんぽは傷病手当金・出産手当金などの保障が充実
  • 医院負担を抑えたい場合は歯科医師国保
  • 採用・定着を重視する場合は協会けんぽが有利
  • 法人化しても適用除外申請で歯科医師国保の継続が可能な場合がある

保険制度の選択は一度決めると変更が難しい(変更ができないケースもある)ため、事前にシミュレーションを行うことをお勧めします。

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ABOUT US
社会保険労務士×生成AI活用アドバイザー 小西朋安
小西 朋安社会保険労務士×生成AI活用アドバイザー
社労士歴19年で、元プログラマーの異色キャリア。 わかりやすい就業規則の作成・経営理念の策定・浸透支援など、職場のあり方づくりに長年取り組んでいる。 近年は、GPTsを活用した求人原稿作成ツールや業務支援AIを自ら開発し、飲食店、美容室、歯科医院などの生成AI活用を積極的に支援している。