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1週間単位の変形労働時間制とは?制度の基礎・小規模飲食店での活用法を解説

1週間単位の変形労働時間制の基礎開設、飲食店での活用

神戸市内で飲食店を経営されているオーナーさま。

「週末は忙しいけれど、平日はそれほどでも…」

そんな日々の営業の中で、
「スタッフのシフト管理が難しい」
「繁閑に合わせて柔軟に労働時間を調整したい」
とお悩みではありませんか?

実は、飲食店など限られた業種だけで使える便利な労働時間制度があるのをご存知でしょうか?

そこでこの記事では、社労士×AI専門家の視点から、小規模飲食店の強い味方となる「1週間単位の変形労働時間制」について詳しく解説します。

この記事でわかること

  • 1週間単位の変形労働時間制の基本的な仕組み
  • 小規模飲食店で活用するメリットと注意点
  • 導入するための具体的な手順と必要書類

目次

1週間単位の変形労働時間制(正式名称:1週間単位の非定型的変形労働時間制)とは?基礎知識を確認

1週間単位の変形労働時間制(正式名称:1週間単位の非定型的変形労働時間制)とは、従業員30人未満の小売業・旅館・料理店・飲食店だけが利用できる特別な労働時間制度です。

この制度を使えば、1週間の労働時間を平均40時間以内に収めることを条件に、特定の日は10時間まで働いてもらうことが可能になります。

例えば、金曜日と土曜日に10時間ずつ勤務してもらい、その分平日の勤務時間を短くするといった柔軟な働き方が実現できます。

神戸市内の小規模飲食店では、曜日による繁閑の差が大きいことが特徴です。

週末は予約でいっぱいになる一方、平日の昼間は来店客が少ないという状況は珍しくありません。

こうした営業実態に合わせて、無駄なく効率的にスタッフを配置したいという需要が高まっています。

労働基準法では、原則として1日8時間・1週40時間を超える労働には残業代の支払いが必要です。

しかし1週間単位の変形労働時間制を導入すると、1週間の合計が40時間以内なら、特定の日に8時間を超えても残業扱いにならないという大きなメリットがあります。

ただし、従業員10人未満の飲食店に認められている「週44時間の特例」は、この制度では使えない点に注意が必要です。

1週間単位の変形労働時間制の3つのメリット

繁忙日に長く働いてもらい、閑散日は早めに退勤してもらうことで、必要な時に必要な人手を確保できます。

週の合計労働時間が40時間以内であれば残業代が発生しないため、人件費の無駄を削減できます。

例えば、金土に各10時間勤務してもらい、月火水は各6.5時間とすれば、週の合計が39.5時間となり、週40時間に収まります。

飲食店で働くスタッフにとっても、メリハリのある働き方が可能になります。

忙しい日はしっかり稼ぎ、平日は短時間勤務で家族との時間や趣味、自己啓発のための時間ができるため、離職率の低下や採用力の向上につながります。

天候や地域のイベントなどの外的な要因で客足が変わる飲食業。

この制度なら、1週間前までにシフトを組めば良いため、直近の予約状況や売上予測を見ながら柔軟にスタッフ配置を調整できます。

ただし事前の通知が必須なので、急な変更はできない点には注意しましょう。

基本的な仕組みと要件

この制度を利用できるのは、以下の条件を満たす事業所のみです。

  • 業種:小売業、旅館、料理店、飲食店
  • 従業員数:常時使用する労働者が30人未満
  • 労働時間の上限:1週間40時間以内、1日10時間以内

従業員数について
ここでの従業員数とは、会社全体の人数ではなく、店舗ごとの人数を指します。

労働時間を設定する際のルールは明確です。

  • 1週間の合計:40時間以内(特例の44時間は適用外)
  • 1日の上限:10時間まで
  • 事前通知:各日の労働時間を1週間が開始する前までに

例えば、月曜日を週の始まりとしている場合は、前日の日曜日までに次週のシフト表を従業員に渡す必要があります。

この制度における時間外労働(残業)時間の計算は、以下のように行います。

所定労働時間が8時間以下の日

  • 所定労働時間を超えて8時間まで:通常の賃金(割増を要しない)の支払いが必要な残業
  • 8時間超:割増賃金(1.25)の支払いが必要な残業

所定外労働時間が6時間の場合:
6時間超~8時間まで:通常の賃金の支払いが必要な残業
8時間超:割増賃金(1.25)の支払いが必要な残業

所定労働時間が8時間超の日


事前に設定された所定労働時間を超えると、割増賃金(1.25)の支払いが必要な残業となります。

所定外労働時間が9時間の場合:
9時間まで:残業にならない(残業代の支払い不要)
9時間超:割増賃金(1.25)の支払いが必要な残業

1週間あたりの時間外労働(残業)時間

1週間の合計労働時間が40時間を超えた部分が割増賃金(1.25)の支払いが必要な残業となります。

よくある誤解と注意点

間違い:従業員10人未満だから週44時間の特例が使える

正解:1週間単位の変形労働時間制では、特例は適用されず週40時間が上限

通常は従業員10人未満の飲食店に認められる週44時間の特例ですが、この制度を使う場合は必ず週40時間以内にする必要があります。

間違い:急に忙しくなったら当日でもシフトを変更できる

正解:各日の労働時間は少なくとも1週間前に書面で通知する必要がある

この制度の大きな制約として、前週までの通知が義務付けられています。当日や前日の変更は原則できません

間違い:正社員もアルバイトも全員この制度が適用できる

正解:18歳未満の年少者や妊産婦で適用除外を希望する人には適用できない

法律で保護されている労働者には特別な配慮が必要です。対象者を明確にしておきましょう。

導入の具体的な手順

まず、自店が制度導入の条件を満たしているか確認しましょう。

  • 業種:飲食店(料理店含む)であること
  • 従業員数:常時使用する労働者が30人未満
  • 営業実態:曜日による繁閑の差が大きい

複数店舗を経営している場合は、店舗ごとに判断します。1店舗あたりの従業員が30人未満なら導入可能です。

制度導入前に、従業員への丁寧な説明が重要です。

説明すべき内容:

  • 1週間の労働時間が40時間以内であること
  • 忙しい日は10時間まで働いてもらう可能性があること
  • その分、平日は短時間勤務になること
  • 残業代の計算方法
  • シフトは1週間前に確定すること

従業員の過半数を代表する者(過半数代表者)と労使協定を締結します。

協定に記載する事項:

  • 1週間単位の非定型的変形労働時間制を採用すること
  • 対象となる従業員の範囲
  • 1週間の労働時間を40時間以内とすること
  • 1日の労働時間を10時間以内とすること
  • 協定の有効期間(通常1年間)

労使協定のひな型は、厚生労働省のホームページで入手できます。

就業規則に追加する内容:

  • 1週間単位の変形労働時間制を採用すること
  • 1週間の所定労働時間(40時間以内)
  • 各日の労働時間の通知方法と時期

従業員10人未満の事業所でも、就業規則がある場合は変更しておくことをお勧めします。

変形労働時間制の適用を労働条件とするためには、就業規則にその旨を記載する必要があるというのが、一般的な考え方です。
そのため10人未満でも就業規則を整備しておくほうが良いでしょう。

従業員10人未満でも就業規則は必要?小規模事業所の判断のカンドコロ

作成した労使協定を所轄の労働基準監督署に届け出ます。

提出書類:

  • 労使協定書(原本とコピー各1部)
  • 就業規則変更届(従業員10人以上の場合)
  • 変更後の就業規則(従業員10人以上の場合)

神戸市内の事業所は、所在地を管轄する労働基準監督署(神戸東・神戸西など)に提出してください。郵送での届出も可能です。

届出が受理されたら、実際の運用を始めます。

運用時のポイント:

  • 毎週、1週間が開始する前までに確定させ、通知する
  • 通知の記録を必ず保管する
  • 週の労働時間が40時間を超えないよう管理する
  • 月に1回、労働時間の実態を確認する

導入後3ヶ月程度は、特に労働時間の記録と管理を徹底し、問題がないか確認しましょう。

社労士が教える労務管理のポイント

制度を導入する際は、法律を守りながらも現場で使いやすい運用を目指すことが重要です。

労使協定の締結と労働基準監督署への届出は必須です。
また、シフト通知も必ず1週間が始まる前までに行いましょう。

これらの手続きが漏れたり、遅れたりすると、変形労働時間制が無効となります。

神戸市の小規模飲食店では、以下の点に特に注意が必要です。

  • 急な欠勤への対応が困難:1週間前にシフトを確定するため、当日の急な欠勤時に別のスタッフに長時間勤務を依頼すると残業代が発生してしまう
  • 予約キャンセルへの対応:大型予約のキャンセルが出ても、すでに通知したシフトは変更できないため、人件費の無駄が生じる可能性がある
  • 繁忙期の連続使用に注意:週をまたいで連続10時間勤務が続くと、スタッフの疲労が蓄積し離職リスクが高まる

対策として、予備のスタッフを確保しておく、または1ヶ月単位の変形労働時間制の活用を検討することもお勧めします。

1か月単位の変形労働時間制とは?制度の基礎・残業計算をわかりやすく解説(飲食店・美容室・歯科医院向け)

制度導入後のトラブルを防ぐため、以下の対策を講じましょう。

  • 導入前に従業員へ丁寧に説明し、同意を得る
  • シフト通知の記録を確実に保管する
  • 残業時間の計算方法を明確にしておく
  • 定期的に労働時間の実態を確認する

特に、従業員が制度の内容を正しく理解していないとトラブルの元になります。

1週間単位の変形労働時間制についてよくある質問

1ヶ月単位の変形労働時間制との違いは何ですか?

1ヶ月単位は業種の制限がなく、事前に1か月分のシフトを確定しておく必要があります。

一方、1週間単位は飲食店など特定業種限定ですが、1週間前までにシフトを組めば良いという柔軟性があります。

繁閑の予測が難しい小規模飲食店には1週間単位が適していると言えます。

導入にはどのくらいの費用がかかりますか?

労働基準監督署への届出自体に費用はかかりません。

ただし、労使協定の作成や就業規則の変更を社労士に依頼する場合は、3万円~10万円程度の費用が発生することがあります。(新規作成の場合は30万円~)

自分で手続きする場合は、書類作成の時間のみで導入可能です。

アルバイトにも適用できますか?

はい、適用可能です。正社員・契約社員・パート・アルバイトなど雇用形態に関わらず利用できます。

ただし、18歳未満の年少者や妊産婦で適用除外を希望する人には適用できません。

また、そもそも週の労働時間が短いパート・アルバイトの方には、変形労働時間制の適用が不要なことが多いです。

まとめ:1週間単位の変形労働時間制で働きたくなる組織へ

本記事では、小規模飲食店の強い味方となる1週間単位の変形労働時間制について詳しく解説しました。

重要ポイント

  • 従業員30人未満の飲食店だけが使える特別な制度
  • 1週40時間以内なら1日10時間まで働いてもらえる
  • 前週末までのシフト通知が必須
  • 人件費の最適化とスタッフの働きやすさを両立できる

神戸市の小規模飲食店の皆様が、繁閑に合わせた柔軟な労務管理を実現し、自分もスタッフも働きたくなる組織づくりを進められることを願っています。

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ABOUT US
社会保険労務士×生成AI活用アドバイザー 小西朋安
小西 朋安社会保険労務士×生成AI活用アドバイザー
社労士歴19年で、元プログラマーの異色キャリア。 わかりやすい就業規則の作成・経営理念の策定・浸透支援など、職場のあり方づくりに長年取り組んでいる。 近年は、GPTsを活用した求人原稿作成ツールや業務支援AIを自ら開発し、飲食店、美容室、歯科医院などの生成AI活用を積極的に支援している。