神戸市で歯科医院を経営されている院長先生。
「2025年4月から新しい給付金が始まったらしいけど、うちのスタッフは対象になるの?」
「出生後休業支援給付金って、育児休業給付金と何が違うの?」
「申請には何の書類が必要で、どこに提出すればいいの?」
このようなお悩みはありませんか?
そこでこの記事では、小さな会社や歯科医院の労務管理を支援する社会保険労務士が、「出生後休業支援給付金」の対象者や申請方法、必要な添付書類について、わかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 出生後休業支援給付金の基本的な仕組みと目的
- 給付金の対象となる条件と金額の計算方法
- 申請に必要な書類と手続きの流れ
目次
出生後休業支援給付金とは?基礎知識を確認
出生後休業支援給付金とは
出生後休業支援給付金とは、2025年4月1日から創設された新しい雇用保険の給付金です。
これまでの育児休業給付金や出生時育児休業給付金に上乗せして支給されるもので、単独で受け取ることはできません。
既存の給付金の給付率67%に、この給付金の13%が加わることで、合計80%(手取りで約10割相当)の給付を受けられるようになりました。
なぜこの制度が作られたのか?3つの背景
この給付金は、「共働き・共育て」を推進し、特に男性の育児参加を促進することを目的として創設されました。
- 男女の育休取得率の格差: 2023年度の男性の育休取得率は約3割と、女性の8割超と比べて大きな開きがあります。
- 経済的な不安の軽減: 夫婦ともに育休を取得すると収入が大幅に減少するという不安が、育休取得の妨げとなっていました。
- 出産直後のサポート: 母親の出産直後の8週間は、特に周囲のサポートが必要な時期であり、この時期に父親も育休を取りやすくする仕組みが求められていました。
歯科医院にとってのメリット
歯科医院がこの制度を適切に活用することで、以下のようなメリットがあります。
- スタッフの定着率向上: 育休制度を適切に運用することで、歯科衛生士など貴重なスタッフの復帰率が高まります。
- 採用力の強化: 育休取得実績がある歯科医院は、求人において大きなアピールポイントになります。
- 職場環境の改善: スタッフが安心して出産・育児に臨める環境は、院全体の雰囲気向上につながります。
出生後休業支援給付金の対象者と支給要件
基本的な支給要件
出生後休業支援給付金を受給するには、原則として両親ともに14日以上の育児休業を取得していることが必要です。
具体的な要件は以下の通りです。
| 要件項目 | 内容 |
|---|---|
| 雇用保険の加入期間 | 休業開始前2年間にみなし被保険者期間が12か月以上 |
| 本人の育休取得 | 対象期間内に通算14日以上の育児休業を取得 |
| 配偶者の育休取得 | 一定期間内に通算14日以上の育児休業を取得(例外あり) |
| 既存給付金の受給 | 育児休業給付金または出生時育児休業給付金を受給 |
対象期間の詳細
対象期間は、産後休業を取得したかどうかで異なります。
【被保険者が産後休業をしていない場合(主に父親の場合)】
「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間
【被保険者が産後休業をした場合(母親で子が養子でない場合)】
「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して16週間を経過する日の翌日」までの期間
2025年4月1日より前から引き続いて育児休業をしている場合は、対象期間の開始日が2025年4月1日より前であっても、「2025年4月1日」を対象期間の開始日とみなして14日以上の取得要件を確認します。
配偶者の育休取得が不要なケース
以下のいずれかに該当する場合は、配偶者の育休取得がなくても給付金を受給できます。
- 配偶者がいない(死亡・行方不明・離婚など)
- 配偶者が子の実親でない
- 配偶者が産後休業中
- 配偶者が負傷・疾病などで育児が困難
- 配偶者が雇用保険の被保険者でない(フリーランス、専業主婦(夫)など)
- 配偶者が6週間以内に出産予定、または産後8週間以内
- 配偶者が学生などで就業していない
父親の場合、子が養子でない限り、配偶者(母親)の育休取得の有無は要件になりません。
支給金額の計算方法と支給日数
支給額の計算式
出生後休業支援給付金の支給額は、以下の計算式で算出されます。
支給額 = 休業開始時賃金日額 × 休業期間の日数(上限28日) × 13%
休業開始時賃金日額とは、休業開始前の直近6か月間に支払われた賃金の総額を180で割った金額です。
具体的な支給額の例
月給30万円のスタッフが28日間の育休を取得した場合の例を見てみましょう。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 休業開始時賃金日額 | 10,000円(30万円÷30日) |
| 出生後休業支援給付金 | 36,400円(10,000円×28日×13%) |
| 育児休業給付金(67%) | 187,600円(10,000円×28日×67%) |
| 合計支給額 | 224,000円 |
休業前の月給30万円の約75%に相当しますが、育休中は社会保険料が免除され、給付金も非課税のため、実質的には手取り10割相当となります。
支給上限額と下限額
休業開始時賃金日額には上限額と下限額が設けられています(2025年8月1日時点)。
- 上限額: 16,110円(支給上限額:58,640円/28日分)
- 下限額: 設定あり(毎年8月1日に変更)
高所得のスタッフの場合、支給額が上限に達するため、休業前の手取り額を下回る可能性がある点に注意が必要です。
申請に必要な書類と添付資料
基本的な申請書類
出生後休業支援給付金の申請は、原則として育児休業給付金または出生時育児休業給付金の初回申請と併せて行います。
主な申請書類:
- 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書
- 育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書
必要な添付書類一覧
申請には、以下の書類の添付が必要です。
| 書類の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 育児休業の開始・終了日、賃金額と支払状況を証明するもの | 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、タイムカード、育児休業申出書 |
| 育児の事実、出産予定日や出生日を確認できるもの | 母子健康手帳(出生届出済証明・分娩予定日の記載ページ)の写し、住民票、医師の診断書(出産予定日証明書) |
| 出生後休業支援給付金の支給要件を満たしていることを確認できる書類 | 配偶者の被保険者番号、配偶者の育児休業開始年月日、配偶者の状態に関する書類 |
配偶者の状況に応じた添付書類
配偶者が雇用保険の被保険者か公務員かによって、準備する書類が異なります。
【配偶者が雇用保険の被保険者の場合】
- 配偶者の被保険者番号を申請書に記載
- ハローワークが配偶者の給付金支給状況を確認するため、配偶者の給付金支給決定後に申請
【配偶者が公務員の場合】
- 配偶者の所属機関が発行する「育児休業等取得証明書」
【配偶者の育休取得が不要なケースに該当する場合】
- 配偶者の状態を証明できる書類(戸籍謄本、診断書など)
申請方法と手続きの流れ
基本的な申請の流れ
申請は原則として事業主(歯科医院)が、従業員に代わって行います。
- 育児休業の開始: スタッフが育児休業を取得
- 必要書類の準備: 母子手帳の写しなど、スタッフから提出してもらう書類を事前に共有
- 申請書の作成: 育児休業給付金または出生時育児休業給付金の申請書に、出生後休業支援給付金の情報も記載
- ハローワークへ提出: 事業所を管轄するハローワークに提出(窓口、郵送、電子申請のいずれか)
- 支給決定: 審査後、給付金が支給される
申請期限
申請期限は、併せて申請する給付金の種類によって異なります。
【育児休業給付金と併せて申請する場合】
育児休業開始日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日まで
例:育児休業開始日が7月10日の場合 → 4か月を経過する日は11月9日、提出期限は11月30日
【出生時育児休業給付金と併せて申請する場合】
子の出生日(出産予定日前に出生した場合は出産予定日)から起算して8週間を経過する日の翌日から、当該日から起算して2か月を経過する日が属する月の末日まで
配偶者が雇用保険の被保険者の場合、ハローワークで配偶者の給付金支給状況(14日以上の支給があるか)を確認します。
そのため、配偶者の出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給決定された後に申請手続きを行う必要があります。
(配偶者の支給決定通知書が届いた後や入金が確認できた後に申請します。)
単独申請が可能なケース
育児休業給付金または出生時育児休業給付金の申請後に、配偶者が14日以上の育休を取得したことで支給要件を満たした場合は、出生後休業支援給付金を単独で申請できます。
この場合の申請期限は、給付要件を満たした日の翌日から起算して10日以内となります。
よくある質問と注意点
歯科医院が準備すべきこと
スタッフへの情報提供
出産を控えているスタッフには、この給付金の制度について早めに情報提供を行いましょう。
- 夫婦ともに14日以上の育休取得が原則であること
- 手取り10割相当の給付が受けられること
- 申請に必要な書類と提出時期
書類の準備と確認
申請をスムーズに進めるため、以下の点に注意しましょう。
- 事前の周知: 母子健康手帳の写しなど、スタッフ本人から提出してもらう書類は、育休開始前に周知する
- 配偶者の状況確認: 配偶者の雇用形態や育休取得予定を事前に確認し、必要な添付書類を把握する
- 申請期限の管理: 申請期限を過ぎると給付金が受け取れなくなるため、スケジュール管理を徹底する
就業規則の整備
育児休業制度について、就業規則に明確に記載しておくことが重要です。
- 育児休業の申請方法と期間
- 給付金の申請手続きについて
- 復帰後の勤務条件
まとめ:出生後休業支援給付金で働きやすい歯科医院へ
本記事では、2025年4月に創設された出生後休業支援給付金について詳しく解説しました。
重要ポイント
- 既存の給付金に13%上乗せされ、手取り10割相当を実現
- 原則として両親ともに14日以上の育休取得が必要
- 申請は育児休業給付金の初回申請と併せて行う
- 配偶者の状況によって必要な添付書類が異なる
このように、出生後休業支援給付金は、スタッフが安心して出産・育児に臨める環境づくりに寄与する重要な制度です。
🎯 産休・育休の手続きでお困りの歯科医院様へ
無料相談実施中!
✅ 出生後休業支援給付金の申請方法がわからない
✅ スタッフへの説明の仕方を知りたい
✅ 産休・育休の就業規則を整備したい
当事務所では、歯科医院さんの個別の事情に合わせた出生後休業支援給付金の申請サポートや、就業規則の整備、復帰後の労務管理に関するご相談などを随時承っております。お気軽にお申し込みください。















