神戸市で歯科医院を経営されている院長先生。
スタッフから育児休業の相談を受けたとき、こんな不安を感じたことはありませんか?
「休業中の人件費負担が心配…」
「どんな手続きが必要なのかわからない…」
「小規模医院でも使える助成金はあるの?」
そこでこの記事では、社労士×生成AI活用アドバイザーの視点から、両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の具体的な申請手順と必要書類を詳しく解説します。
この記事でわかること
- 育児休業等支援コースで最大122万円を受給する方法
- 申請から受給までの具体的なステップと必要書類一覧
- 歯科医院特有の注意点と失敗しないコツ
目次
両立支援等助成金(育児休業等支援コース)とは?
制度の概要と目的
両立支援等助成金(育児休業等支援コース)とは、「育休復帰支援プラン」を策定し、育児休業の円滑な取得・職場復帰の取組を行った中小企業事業主に支給される助成金です。
働き続けながら子の養育を行う労働者の雇用の継続を図るため、育児休業の円滑な取得と職場復帰を支援する取組を促進することを目的としています。
歯科医院は常時雇用する労働者数が100人以下であれば「サービス業」の中小企業に該当し、この助成金の対象となります。多くの歯科医院が該当するでしょう。
支給額と支給回数
本コースでは以下の3つの場合に助成金が支給されます。
| 支給区分 | 支給額 | 支給条件 |
|---|---|---|
| 育休取得時 | 30万円 | 育休復帰支援プランを作成し、プランに基づき育児休業を取得させた場合 |
| 職場復帰時 | 30万円 | 育休取得時の対象労働者について、育休終了後に職場復帰させた場合 |
| 情報公表加算 | 2万円 | 育児休業取得率等の情報を「両立支援のひろば」で公表した場合 |
1事業主あたり、無期雇用スタッフ1人、有期雇用スタッフ1人の計2人までが対象となります。
有期雇用スタッフか無期雇用スタッフかの判定は、育休復帰支援プランの策定日において行います。
つまり、最大で122万円(30万円×2回×2人+2万円)の受給が可能です。
歯科医院にとってのメリット
歯科衛生士や歯科助手の育児休業取得を支援することで、以下のメリットがあります。
- 人材確保・定着:育休を取得しやすい環境は、求職者へのアピールポイントになります
- 経済的負担の軽減:助成金で休業中の負担を一部カバーできます
- 組織力の向上:業務の引継ぎを通じて、業務の標準化・可視化が進みます
申請の準備:必要な規定と事前整備
就業規則(育児介護休業規程)への規定
対象スタッフの育児休業開始前に、以下の制度を労働協約または就業規則(育児介護休業規程)に規定している必要があります。
- 育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業(出生時育児休業を含む)
- 育児・介護休業法第23条に定める育児のための所定労働時間の短縮措置
ざっくりと言うと、最新の育児介護休業法に基づいた規定をしている必要があるということです。
就業規則に「育児・介護休業法に準拠する」という委任規定だけでは不十分です。
具体的な制度内容を就業規則(育児介護休業規程)に明記する必要があります。
常時10人未満の歯科医院で就業規則の届出義務がない場合でも、制度を明文化し、全スタッフへ周知されていることが必要です。
周知方法としては、全スタッフへのメール送信、回覧、社内掲示、配布などが認められます。周知日が確認できる記録を残しておきましょう。
一般事業主行動計画の策定・届出
次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」を策定し、都道府県労働局へ届け出ている必要があります。
以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 申請時点で当該行動計画が有効であること(申請日が行動計画の期間内に含まれていること)
- 支給申請日までに策定、届出、公表及び周知がされていること
「両立支援のひろば」で公表することで、情報公表加算の要件も同時に満たせます。
なお、プラチナくるみん認定を受けている事業主は、行動計画の策定・届出がなくても支給対象となります。
支援方針の周知
育休復帰支援プランにより労働者の育児休業の取得・職場復帰を支援する方針を、休業開始日の前日までに全スタッフへ周知しておく必要があります。
周知は、プランそのものではなく、プランによる支援措置の実施方針(今後も実施していくという方針)の周知が必要です。
就業規則への規定、社内報、院内掲示板への掲示、ミーティングでの説明などの方法が考えられます。
社内報、ミーティングなどで周知した場合は、周知日とスタッフの確認の署名、院内掲示の場合は、掲示の様子を写メに収めるなど証明資料を残しておきます。
指針方針の文例
「当医院は、育児休業の取得を希望する労働者に対して、円滑な育児休業の取得及び職場復帰を支援するために、当該スタッフごとに育休復帰支援プランを作成し、同プランに基づく措置を実施します。
同プランに基づく措置は、業務の整理・引き継ぎに係る支援、育児休業中の職場に関する情報及び資料の提供を含むものとし、育児休業を取得するスタッフとの面談により把握したニーズに合わせて定め、これを実施します。」
育休取得時の申請:具体的な手順と必要書類
ステップ1:面談の実施と記録
対象スタッフ(またはその配偶者)の妊娠を把握したら、休業開始日の前日までに面談を実施します。院長または人事担当者が面談者となります。
面談で確認する内容
- 育児休業の取得時期や期間
- 復帰後の働き方の希望
- 業務の引き継ぎ方法
- 育児休業等に関する個別の周知(義務)
- 育児休業等に関する意向確認(義務)
結果は厚生労働省指定の「面談シート」(【育】様式第2号)に記録してください。対面での面談が困難な場合は、電話やメールなどによる相談・調整でも構いません。
面談は2度実施する必要がありますので、スケジュールを立てておきましょう。
ステップ2:育休復帰支援プランの作成
面談結果を踏まえて、対象スタッフごとの育休復帰支援プラン(【育】様式第3号)を作成します。プランには必ず以下の2つの内容を盛り込む必要があります。
- 業務の整理、引継ぎに関する措置:
対象スタッフの業務棚卸し、引継ぎ計画の作成など - 育児休業中の職務や業務内容に関する情報・資料の提供に関する措置:
休業中に職場の状況や業務変更の情報を提供する方法など
プランは休業開始日の前日までに作成する必要があります。
厚生労働省が公開している「育休復帰支援プラン策定マニュアル」や、仕事と家庭の両立支援プランナーによる無料支援も活用できます。
マニュアルを活用して作成したプランでも、助成金の要件を満たしていない場合は支給対象外となります。

育休復帰支援プランの例:厚生労働省「両立支援等助成金支給申請の手引き(2025(令和7)年度版)(パンフレット)」より抜粋
ステップ3:業務の引継ぎ実施
作成したプランに基づいて、休業開始日の前日までに業務の引継ぎを実施させます。対面による引き継ぎが困難な場合は、電話、メール、書面による引き継ぎでも差し支えありません。
プランによらず、すでに引継ぎを終了している場合は支給対象外となります。必ずプランを作成してから引継ぎを行ってください。
ステップ4:連続3か月以上の育児休業取得
対象スタッフに連続3か月以上の育児休業を取得させます。産後休業から引き続いて育児休業を取得する場合は、産後休業を含めて連続3か月以上となっていれば支給対象となります。
育児休業中の就業について
労使合意に基づく臨時的・一時的な就業であれば、育児休業開始日を起算として全ての月において就業日数が10日(10日を超える場合は就業時間が80時間)以下であれば本助成金の対象となります。
ステップ5:申請書類の提出
申請期限
- 産後休業から連続して育児休業を取得した場合:産後休業開始日から起算して3か月を経過する日の翌日から2か月以内
- 上記以外の場合:育児休業開始日から起算して3か月を経過する日の翌日から2か月以内
育児休業の終了を待たずに申請期限が終了することもありますので、ご注意ください。
申請先:申請事業主の本社等(人事労務管理の機能を有する部署が属する事業所)の所在地にある労働局雇用環境・均等部(室)
育休取得時の必要書類一覧
| No. | 書類名 | 備考 |
|---|---|---|
| 1 | 支給申請書(【育】様式第1号①②) | – |
| 2 | 支給要件確認申立書(共通要領様式第1号) | 厚生労働省HP掲載の最新版を使用 |
| 3 | 面談シート(【育】様式第2号) | 写し |
| 4 | 育休復帰支援プラン(【育】様式第3号) | 写し |
| 5 | 支援方針の周知を確認できる書類 | 社内報、就業規則、イントラネット画面等(写し) |
| 6 | 労働協約または就業規則及び関連する労使協定 | 育児休業制度、短時間勤務制度が確認できる部分(写し) |
| 7 | 対象労働者の雇用契約書または労働条件通知書 | プラン策定日における雇用期間の定めが確認できるもの(写し) |
| 8 | 育児休業申出書 | 期間変更がある場合は変更申出書も(写し) |
| 9 | 出勤簿またはタイムカード及び賃金台帳 | 休業前1か月分+休業期間3か月分(写し) |
| 10 | 母子手帳(出生証明部分)、住民票等 | 子がいることを確認できる書類(写し) |
| 11 | 一般事業主行動計画策定届 | プラチナくるみん認定事業主は不要(写し) |
| 12 | 提出を省略する書類についての確認書(【育】様式第6号) | 2人目申請時、内容に変更がない場合 |
| 13 | 支払方法・受取人住所届及び通帳等の写し | 初めて雇用関係助成金を申請する場合 |
5「支援方針の周知を確認できる書類」
当事務所で申請を支援したケースでは、店内に周知文書を掲示していたため、その掲示の様子を写真にとって確認書類として提出したことがあります。
企業様郵送で申請する場合の注意:配達記録が残る方法(簡易書留など)で送付してください。消印の日付が申請期間内であっても、労働局への到達日が申請期限を過ぎている場合は受付できません(期限内必着)。
職場復帰時の申請:具体的な手順と必要書類
職場復帰時の申請は、育休取得時の助成金を受給した対象スタッフについてのみ申請できます。育休取得時の助成金を受給していない場合は、職場復帰時の申請はできません。
情報・資料の提供
プランに基づき、休業中のスタッフへ職場復帰までに職務や業務内容に関する情報・資料を提供します。これは職場復帰を円滑にするためのものです。
提供する情報の例
- 原職または復帰後の職務に関連する情報(業務データ、月報、業務マニュアル、企画書、業界紙など)
- 新しい治療器具の導入情報
- 院内システムの変更
- スタッフミーティングの議事録
- 組織再編や人事に関する情報
提供方法
資料の郵送、電子メールによる送信、イントラネットの掲示板への掲載などが認められます。
提供した日付が確認できる記録を残しておくことが重要です。
書面で提供した場合は、本人から受領した旨の署名をもらっておきましょう。
復帰前面談の実施
育児休業終了前に、院長または人事担当者と対象スタッフで面談を行い、復帰後の働き方を確認します。結果は面談シート(【育】様式第2号)に記録してください。
面談は職場復帰の約2か月前に実施することが望ましいとされています。対面での面談が困難な場合は、電話やメールなどによる相談・調整でも構いません。
原職等への復帰
対象スタッフを原則として原職等(休業前と同一の部署・職務)に復帰させる必要があります。
原職の定義:
休業前に就いていた部署(組織の最小単位)と同一の部署であり、かつ同一の職務であること
原職相当職として認められる条件
- 厚生労働省編職業分類の中分類が同一であること
- 休業前と同一の事業所に勤務していること
- 職制上の地位が休業前を下回っていないこと
育児のための短時間勤務制度の利用は問題ありません。本人の希望により原職等以外で復帰する場合は、その希望が面談シートで確認できれば対象となります。
無期雇用だったスタッフを有期雇用として復帰させる場合や、職制上の地位に係る手当(主任手当、管理職手当等)が支給されなくなった場合は対象外となります。
6か月以上の継続雇用
対象スタッフを職場復帰した日から6か月以上、雇用保険被保険者として継続雇用し、かつ支給申請日においても雇用している必要があります。
就業割合の要件:
当該6か月間は、就業予定日に対する実際の就業日の割合が5割以上であることが求められます。
就業とみなされるもの
- 年次有給休暇
- 産前・産後休業、育児休業、介護休業
- 子の看護等休暇、介護休暇
- 母性健康管理の措置としての休業
- 労働協約または就業規則に規定のある休暇・休業(各月の所定労働時間の20%以下の場合に限る)
職場復帰後に在宅勤務をしている場合は、業務日報等により勤務実態(勤務日、始業終業時刻)が確認できる日に限り就業とみなされます。
申請期限
育児休業終了日の翌日から起算して6か月を経過する日の翌日から2か月以内に申請します。
育児休業期間中に次子の産前・産後休業が開始する場合は、次子の産前・産後休業開始日から起算して6か月を経過する日の翌日から2か月以内が申請期限となります。
職場復帰時の必要書類一覧
| No. | 書類名 | 備考 |
|---|---|---|
| 1 | 支給申請書(【育】様式第4号①②) | – |
| 2 | 支給要件確認申立書(共通要領様式第1号) | 厚生労働省HP掲載の最新版を使用 |
| 3 | 面談シート(【育】様式第2号) | 原職等以外で復帰する場合は希望が確認できること(写し) |
| 4 | 情報・資料の提供を実施したことが確認できる書類 | 提供した資料、イントラネット画面等(日付確認できるもの)(写し) |
| 5 | 出勤簿またはタイムカード及び賃金台帳 | 休業終了前3か月分+復帰後6か月分(写し) |
| 6 | 労働協約または就業規則及び関連する労使協定 | 育児休業制度、短時間勤務制度が確認できる部分(写し) |
| 7 | 一般事業主行動計画策定届 | プラチナくるみん認定事業主は不要(写し) |
| 8 | 育児短時間勤務の申出書 | 復帰後に育児短時間勤務を利用した場合のみ(写し) |
| 9 | 賃金計算方法が確認できる書類 | 復帰後に育児短時間勤務を利用した場合のみ(写し) |
| 10 | 提出を省略する書類についての確認書(【育】様式第6号) | 育休取得時の申請時から内容に変更がない場合 |
対象者が復帰後に在宅勤務である場合は、業務日報等も必要です。育児休業の期間が変更されている場合は育児休業期間変更申出書も提出してください。
育児休業等に関する情報公表加算
育休取得時または職場復帰時のいずれかを申請する事業主が、自社の育児休業等の利用状況に関する情報を指定のサイト上で公表した場合に、2万円が加算されます(1事業主につき1回限り)。
公表が必要な情報
「両立支援のひろば」の「一般事業主行動計画公表サイト」において、以下の3つの情報を公表する必要があります。自社サイトでの公表は対象外です。
| 公表項目 | 算出方法 | 記載欄 |
|---|---|---|
| ①男性労働者の育児休業等取得割合 | 申請前事業年度において配偶者が出産した男性労働者数に対する、同年度において育児休業をした男性労働者数の割合(%、小数第1位以下切り捨て) | 「男性の育児休業取得率等」欄 |
| ②女性労働者の育児休業取得割合 | 申請前事業年度において出産した女性労働者に対する、同年度において育児休業をした女性労働者数の割合(%、小数第1位以下切り捨て) | 「女性の育児休業取得率」欄 |
| ③男女別の育児休業平均取得日数 | 4つの計算方法から選択(日、小数第1位以下切り捨て) | 「育児休業等の取得の状況に関する備考」欄 |
原則として、支給申請日の属する事業年度の直前の事業年度の情報を公表していることが必要です。
ただし、直前の事業年度の終了日から3か月以内に支給申請を行う場合で、集計作業に時間を要するときは、2事業年度前の情報を公表することも認められます。
公表内容は、支給申請日から支給決定日まで、さらに支給決定後も少なくとも申請事業年度の終了まで公表を継続する必要があります。
情報公表加算の必要書類
- 支給申請書(【育】様式第5号)
- 一般事業主行動計画公表サイトの企業情報の公表画面(3つの情報を全て公表していることが分かるよう印刷)
- 掲載手続が完了していない場合は、サイト管理者から送信された掲載申請または更新申請の受付メール(受信日時が分かるもの)
歯科医院での活用に関するよくある質問
不支給となる主なケース
以下のケースに該当する場合は、助成金が支給されません。申請前に必ず確認してください。
- 支給申請日の前日から起算して1年前の日から支給申請日の前日までの間に、育児・介護休業法、男女雇用機会均等法などの重大な違反がある場合
- 支給申請時点で育児・介護休業法に違反し、助言又は指導を受けたが是正していない場合
- 対象労働者について不利益取扱い(育児・介護休業法第10条等で禁止されているもの)を行っている場合
- 労働基準法第4条(男女同一賃金の原則)または第6章の2(妊産婦等)の規定に違反する取扱いを行っている場合
- プランによらず、すでに引継ぎを終了している場合(育休取得時)
- 育休取得時の助成金を受給していない場合(職場復帰時)
まとめ:育児休業支援で選ばれる歯科医院へ
本記事では、両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の申請手順と必要書類を詳しく解説しました。
重要ポイント
- (育休取得時30万円+職場復帰時30万円)×2人+情報公表加算2万円で最大122万円
- 育休復帰支援プランの作成と面談記録が必須
- プラン作成前に引継ぎを終了すると支給対象外
- 申請期限を厳守(育休取得時:3か月経過後2か月以内、職場復帰時:6か月経過後2か月以内)
- 就業規則への制度規定と一般事業主行動計画の届出が事前に必要
歯科衛生士の人材不足が深刻化するなか、育児と仕事を両立できる環境を整えることは、医院の競争力向上に直結します。
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