歯科医院を経営されている院長先生。
「歯科衛生士の採用がとても難しい」
「スタッフがすぐに辞めてしまう」
「採用してもなかなか定着しない」
とお悩みではありませんか?
新卒の歯科衛生士の有効求人倍率は23.3倍という超売り手市場。(一般社団法人 全国歯科衛生士教育協議会「歯科衛生士教育に関する現状調査の結果報告(2023年)より」)
給与を上げることができれば、多少は問題が解決したり、先送りになるかもしれませんが、あくまでも対処療法ですし、小規模な歯科医院では、給与を上げ続けることは簡単ではありません。
そこでこの記事では、社労士×生成AI活用アドバイザーの視点から、給与以外でスタッフに選ばれる歯科医院になるための5つのノーコスト施策を詳しく解説します。
この記事でわかること
- 歯科医院でスタッフが辞める本当の理由
- 今日から始められる5つのノーコスト離職防止施策
- 社労士が教える就業規則への組み込み方
目次
歯科医院でスタッフが辞める本当の理由
日本歯科衛生士会の最新調査(令和7年3月)によると、歯科衛生士が回答した勤務先変更の理由は以下の通りです。
| 変更理由 | 割合 |
|---|---|
| 出産・育児 | 33.8% |
| 経営者との人間関係 | 33.2% |
| 結婚 | 32.4% |
| 給与・待遇の面 | 32.3% |
| 勤務形態・勤務時間 | 31.8% |
| 仕事内容 | 29.6% |
| 仕事内容のレベルアップのため | 25.7% |
この結果から、離職理由は1つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っていることがわかります。
ライフステージの変化と職場環境の両方が重要
「出産・育児」「結婚」といったライフステージの変化が上位に来ていますが、「経営者との人間関係」「給与・待遇」「勤務形態・勤務時間」といった職場環境の要因もほぼ同じ割合で挙げられています。
つまり、結婚や出産のタイミングで「この職場で働き続けたい」と思えるかどうかが、定着率を左右する重要なポイントになります。
本人が働き続けたいという願望を持っていても、医院の雰囲気やこれまでの慣習から、それが難しいというケースも未だに見受けられます。
新規採用が困難な状況はこれから先も続いていくと想定されますので、国の支援制度を活用して、こういったスタッフさんが出産・育児後に復帰できる仕組み・風土を整えていくことが大切です。
📝出産・育児に関する支援制度に関する解説記事はこちらです。
給与だけでは解決しない複合的な課題
「給与・待遇の面」は32.3%ですが、「経営者との人間関係」(33.2%)、「勤務形態・勤務時間」(31.8%)、「仕事内容」(29.6%)、「仕事内容のレベルアップのため」(25.7%)も同程度の割合で挙げられています。
このことから、給与を上げるだけでは離職を防げず、職場環境の総合的な改善が必要であることがわかります。
また、【給与はあっても、満足度は上がらない】という有名な研究結果があります。
ハーズバーグの二要因理論
ハーズバーグの研究では、給与(報酬は)衛生要因に分類され、あっても満足度は上がらないが、ないと満足度が下がるとしています。
つまり、「給与が極端に低ければ離職の原因となり得ますが、どんどん昇給させたり、賞与をたくさん出したからと言って、離職を防げるわけではない。」ということです。

小規模医院だからこそ人間関係が重要
歯科医院は平均従業員数5名未満という小規模な職場が多く、特に「経営者(院長)との人間関係」が33.2%で第2位となっています。
少人数だからこそ、一度人間関係がこじれると問題を解消することが難しく、離職につながりやすい環境といえます。
給与以外でスタッフに選ばれる医院になるための5つのノーコスト施策

離職の主な原因が給与以外にあるのであれば、コストをかけずに職場環境を改善することで定着率を高めることが可能です。
ここでは、明日から実践できる5つの具体的な施策をご紹介します。
施策1:医院理念の明確化と浸透
なぜ理念浸透が離職防止につながるのか
スタッフが「この医院で働く意義」を感じられることで、給与以外の働きがいを見出すことができます。
理念が浸透している医院では、スタッフ同士の価値観が共有され、チームワークも向上します。
仕事そのものに意義を感じられるようになるのが大きなポイントです。
具体的な実践方法
- 朝礼での理念共有: 毎朝3分間、理念に沿った行動や考え方を全員で共有する
- 患者さんの声の共有: 「ありがとう」と言われたエピソードを共有し、理念が実現できていることを実感させる
- 採用時からの理念説明: 面接時に理念を丁寧に説明し、共感できる人材を採用する
毎日全員がそろわない場合は、SNSなどを活用して共有する方法もおすすめです。
理念は掲げるだけでは意味がありません。最も大切なことは、院長自身が理念に沿った行動を示すことです。
施策2:定期的な1on1面談の実施
1on1面談が離職を防ぐ理由
月1~2回、15分~30分の1on1面談により、離職の兆候を早期に発見できます。また、スタッフは「自分のことを気にかけてもらえている」と感じ、帰属意識が高まります。
個別に面談に慣れるまでは、1回5分でもいいので、継続していくことが大切です。
効果的な1on1の進め方
- 頻度: 月1~2回、15分~30分程度
- 場所: 診療室ではなく、落ち着いて話せる別室で実施
- 話す内容: 仕事の悩み、キャリアの希望、プライベートの変化など
- 記録: 面談内容を簡単にメモし、次回に活かす
1on1で大事なのは自己開示です。まずは、こちらから心を開くようにしましょう。ただし、話過ぎはいけませんので、7~8割はスタッフが話す時間にします。
プライベートについては、本人から話を切り出すまでは、過度に聞かないようにします。ハラスメントに該当する恐れがあります。
離職兆候チェックリスト
施策3:サンクスカード・承認文化の醸成
「ありがとう」が離職を防ぐ心理学的根拠
人間は承認欲求を持っています。日々の小さな貢献を認めてもらえることで、「この職場で必要とされている」と感じることができます。
例えば、ある保育園では、職員がお互いを称賛し、感謝を伝えるメッセージとともにポイントを贈り合うことができるWebサービスを利用して、職員がお互いを承認しあうことを推進したところ離職率が34.7%→7.4%に改善したという例があります。
出典:パステルIT新聞「仲間からの感謝を見える化する「Unipos」感謝・称賛の文化醸成 離職率の大幅な改善に」
小規模な歯科医院さんの場合は、システムを使わず以下のような施策が考えられます。
導入パターン
パターンA:付箋を使った簡易版
- スタッフルームに付箋とペンを用意
- 感謝したいことがあれば、その場で書いて渡す
- 月末に全員の付箋を集めて掲示板に貼り出す
直接渡すのではなく、箱を設けてその中に入れていく方法もあります。
パターンB:朝礼での感謝共有
- 毎朝の朝礼で、スタッフが順番に「昨日助けてもらったこと」を発表
- 感謝された人は「どういたしまして」と応える
- 所要時間3分で、チームの一体感が高まる
パターンC:院長直筆カード
- 月に1回、院長がスタッフ一人ひとりに手書きのメッセージカードを渡す
- その月に頑張っていたことや、成長を感じた点を具体的に書く
- 「見てくれている」という安心感が生まれる
給与支給日に給与明細書と一緒に渡すと、より感謝が伝わりやすいです。
施策4:透明性のある評価制度の構築
評価制度の透明性が定着につながる理由
「何を頑張れば評価されるのか」が明確であれば、スタッフは目標を持って働くことができます。また、評価が給与や昇格に反映されることで、「頑張りが報われる」実感が得られます。
小規模医院でも導入できる評価基準の例
実際に評価制度に落とし込む場合は、より具体的な行動や考え方を明示します。
歯科衛生士の評価基準
- 技術力: メンテナンスの施術精度、患者満足度
- 患者対応: 説明のわかりやすさ、信頼関係の構築
- チームワーク: 後輩指導、スタッフ同士の協力
- 理念実践: 医院理念に沿った行動ができているか
歯科助手・受付の評価基準
- 業務遂行: 受付・会計の正確性、予約管理
- 患者対応: 電話応対、クレーム対応
- 事務処理: レセプト業務、書類管理
- 理念実践: 患者さんへのおもてなし意識
評価面談の進め方
半年に1回、以下の流れで評価面談を実施します。
- 事前に自己評価シートを記入してもらう
- 院長が評価シートを記入する
- 面談で両者の評価をすり合わせる
- 次の半年の目標を一緒に設定する
- 評価結果を給与・賞与に反映する
評価面談は半年に1回だとしても、少なくとも月に1回、可能であれば2週間に1回は進捗状況や現時点での達成度を擦り合わせるための面談を実施することをおすすめします。
半年に1回のみの面談ですと、どうしても院長先生とスタッフさんの認識にズレが生じてしまい、それがスタッフさんの不満のタネとなるからです。
1on1面談と一緒に行うと効率的です。
施策5:新人教育プログラム(オンボーディング)の整備
最初の3ヶ月が離職率を決める
新しいスタッフへの教育やフォローアップ体制、受け入れ体制が不十分だと、早期離職の原因になります。
入職後3ヶ月間に適切な教育とサポートを提供することで、「この医院でやっていける」という自信を持たせることができます。
米国:ClickBoarding社の調査によると、効果的なオンボーディングの実施により、3年後の定着率が58%、生産性が50%向上するというデータがあります。。
段階的教育プログラム(オンボーディング)の例
1週目:医院の理念と基本ルールの理解
- 医院理念の説明と共有
- 就業規則の説明
- 院内の設備・機材の使い方
- スタッフ紹介と歓迎ランチ
2週目〜1ヶ月:基本業務の習得
- 先輩スタッフに同行しながら業務の流れを学ぶ
- 簡単な業務から徐々に任せていく
- 毎日10分の振り返りミーティング
2ヶ月目:独り立ちの準備
- 一人で業務をこなせる範囲を徐々に広げる
- わからないことはすぐに質問できる体制
- 週1回のフォローアップ面談
3ヶ月目:定着確認
- 3ヶ月の振り返り面談
- 不安な点や改善してほしい点のヒアリング
- 今後のキャリアパスの説明
チェックリストの活用例
新人教育用のチェックリストを作成し、「できるようになったこと」を可視化すると漏れがなくなります。
| 項目 | 内容 | 完了日 | 確認者 |
|---|---|---|---|
| 理念理解 | 医院理念を自分の言葉で説明できる | ||
| 受付業務 | 初診受付の流れを理解している | ||
| 電話応対 | 基本的な電話応対ができる | ||
| 予約管理 | 予約システムの操作ができる | ||
| 会計業務 | 正確な会計処理ができる |
社労士が教える就業規則への組み込み方
これらの施策を単なる「取り組み」で終わらせないためには、就業規則や人事制度に明文化することが重要です。
理念を服務規律に反映させる
就業規則の服務規律の記載例
「従業員は、医院の理念である『患者さんの健康と笑顔を守る』を常に意識し、すべての業務において患者さん第一の姿勢で行動しなければならない。」
新人教育期間を試用期間として設定する
就業規則の試用期間の記載例
「新規採用者については、入社日から3ヶ月間を試用期間とする。試用期間中は、教育プログラム(オンボーディングプログラム)に基づき段階的に業務を習得し、医院理念を深く理解するものとする。」
よくある質問
まとめ:給与以外でスタッフに選ばれる医院へ
本記事では、歯科医院のスタッフ離職を防ぐ5つのノーコスト施策について解説しました。
重要ポイント
- 離職理由は「出産・育児」「経営者との人間関係」「給与・待遇」「勤務形態」など複合的
- 5つのノーコスト施策:理念浸透、1on1面談、サンクスカード、評価制度、新人教育(オンボーディング)
- 施策は就業規則に明文化することで継続性が高まる
歯科医院の院長先生が、自分もスタッフも働きたくなる組織づくりを実現するため、まずは1つの施策から実践してみてください。
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