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キャリアアップ助成金(正社員化コース)2025年度|制度の概要から申請手続きの流れを完全ガイド

キャリアアップ助成金(正社員化コース)2025年度を完全ガイド

神戸市で歯科医院を経営されている院長先生。

「パートの歯科衛生士さんを正社員にしたい」
「助成金を使って人材確保のコストを抑えたい」
「キャリアアップ助成金はよく聞くけど、手続きが複雑そうで踏み出せない」

こんなお考えやお悩みはりませんか?

そこでこの記事では、社労士×生成AI活用アドバイザーの視点から、キャリアアップ助成金(正社員化コース)2025年度版の制度内容から申請手続きまでを詳しく解説します。

この記事でわかること

  • 2025年度の制度変更ポイントと支給額
  • 歯科医院での具体的な申請手順と必要書類
  • 申請時のよくあるミスと対策

目次

キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは?

キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは、パートやアルバイトなどの有期雇用労働者(雇用契約期間に定めがあるスタッフ)を正社員に転換した事業主に対して支給される助成金です。

歯科医院では、歯科衛生士や歯科助手、受付スタッフなどを対象に活用できます。厚生労働省が管轄しており、要件を満たせば原則として受給できる点が助成金の特徴です。

助成金には年度ごとに予算が設定されており、予算を超過すると受給要件を満たしていても、申請の受付が停止されることがあります。

令和7年4月1日から、支給対象者が「重点支援対象者」と「それ以外」に区分されました。この変更により、より支援が必要な方への転換に対して手厚い助成が受けられます。

対象者区分転換前の雇用形態中小企業大企業
重点支援対象者有期雇用→正規80万円(40万円×2期)60万円(30万円×2期)
重点支援対象者無期雇用→正規40万円(20万円×2期)30万円(15万円×2期)
上記以外有期雇用→正規40万円(40万円×1期)30万円(30万円×1期)
上記以外無期雇用→正規20万円(20万円×1期)15万円(15万円×1期)

※1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20名です

重点支援対象者は、以下のa〜cのいずれか1つに該当する方です。

  • a:雇入れから3年以上の有期雇用労働者
  • b:雇入れから3年未満で、以下の①②いずれにも該当する有期雇用労働者
    ①過去5年間に正規雇用労働者であった期間が合計1年以下
    ②過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない
  • c:派遣労働者、母子家庭の母等または父子家庭の父、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者

歯科医院では、長年パートで働いてきたスタッフさんや、子育てがひと段落したスタッフさんが該当するケースがあると考えられます。

加算内容中小企業大企業
正社員転換制度を新たに規定し転換した場合20万円15万円
多様な正社員制度を新たに規定し転換した場合40万円30万円

※各加算は1事業所当たり1回のみ

多様な正社員とは、短時間正社員や勤務地限定正社員、職務限定正社員のことです。
小規模歯科医院の場合は、短時間正社員が現実的です

歯科医院がキャリアアップ助成金を活用する3つのメリット

キャリアアップ助成金正社員化コースのメリットイメージ図

歯科衛生士の採用コストは、求人広告費や紹介手数料を含めると1人あたり数十万円に達することもよくあります。

既存のパートスタッフを正社員化すれば、最大80万円の助成金を受けながら人材を確保できます。

正社員への転換は、スタッフの定着率向上に向上につながります。賞与や退職金制度が適用されることで、長期的なキャリア形成が可能になり、離職率の低下が期待できます。

正社員が増えることで、医院全体の責任感やチームワークが向上します。患者さんへのサービス品質も上がり、医院の評判向上につながる好循環が生まれます。

計画の届け出から受給までの全体の流れ

キャリアアップ助成金の申請から受給までは、以下の流れで進めます。

キャリアアップ助成金正社員化コースの申請フロー図

厚生労働省「キャリアアップ助成金パンフレット(令和7年度版)」より抜粋

ステップ内容目安時期
STEP1キャリアアップ計画書の作成・提出正社員化の前日まで
STEP2就業規則の整備・届出正社員化の前日まで
STEP3正社員への転換実施計画期間内
STEP46か月間の賃金支払い転換日から6か月
STEP5支給申請書類の提出賃金支払日の翌日から2か月以内
STEP6審査・支給決定申請から数か月

キャリアアップ計画書は必ず正社員化の前日までに提出する必要があります。提出が間に合わないと助成金を受給できませんのでご注意ください。

【STEP1】キャリアアップ計画書の作成・提出

まず、医院内にキャリアアップ管理者を配置する必要があります。院長先生ご自身がなることも可能ですが、労働者代表との兼任はできません

  • 事業所名・所在地・代表者名
  • キャリアアップ管理者の氏名・配置日
  • 計画期間(3年~5年で任意に設定)
  • 対象者の職種・人数
  • キャリアアップの目標・具体的な取り組み内容

計画書は選択・チェックの項目が多いので、自医院に該当する項目を選んでいけばスムーズに作成できます。

提出方法は以下の3つから選べます。

  1. 窓口への持参:管轄の労働局またはハローワーク
    助成金専用の窓口を設けている都道府県もあります。
    兵庫県は、兵庫労働局ハローワーク助成金デスク(神戸市中央区)
    大阪府は、大阪労働局助成金センター(大阪市中央区)
  2. 郵送:到着日が期限内であることが必要
  3. 電子申請:雇用関係助成金ポータル(要GビズID)

電子申請の場合は、事前にGビズIDプライムの取得が必要です。取得には通常3週間程度かかりますので、早めに準備しましょう。

【STEP2】就業規則の整備

キャリアアップ助成金を受給するには、就業規則に正社員転換制度を規定する必要があります。

  1. 転換の手続き:面接試験・筆記試験など
  2. 転換の要件:勤続年数・人事評価結果・所属長の推薦など
  3. 転換時期:毎月1日・毎年4月1日、随時など

以下は正社員転換制度の規定例です。

第○条(正規雇用への転換)
勤続6か月以上の者で、本人が希望する場合は、
正規雇用に転換させることがある。

2 転換時期は、原則毎月1日とする。
  ただし、所属長が許可した場合はこの限りではない。

3 人事評価結果としてC以上の評価を得ている者
  または所属長の推薦がある者に対し、
  面接および筆記試験を実施し、
  合格した場合について転換することとする。

2025年度の制度では、正社員に以下の待遇が適用されていることが必要です。

  • 「賞与または退職金の制度」のいずれか1つ以上
  • 「昇給」制度

これらが就業規則に明記されていない場合、助成金の対象外となりますのでご注意ください。

賞与制度のポイント

  • 支給することが原則として明記されていること
  • 「社会通念上、正規雇用労働者の待遇として相当な制度」であること
  • 参考として、賞与・退職金制度導入コースでは「6か月あたり5万円以上」が基準とされています

業績の低下などによって実際に賞与が支給されなかった場合でも、助成金を受給することは可能です。

退職金制度のポイント

  • 事業主が積立・拠出額を負担することが規定されていること
  • 実際に積立・掛金の拠出が行われていること
  • 参考として、賞与・退職金制度導入コースでは「1か月あたり3,000円以上(6か月で18,000円以上)」が基準とされています

院内での積立のほか、中小企業退職金共済(中退共)や確定拠出年金などへの掛け金の拠出が対象となります。

昇給制度のポイント

  • 原則として基本給の昇給であること
  • 年1回以上の実施が予定されていること
  • 客観的な昇給基準(勤務成績、人事評価など)が規定されていること

降給の可能性がある規定でも、客観的な基準があれば、受給対象となり得ます。

常時雇用する労働者が10人未満の医院では、労働基準監督署への届出義務はありませんが、本助成金を利用する場合は以下のいずれかが必要です。

  • 支給申請前に労働基準監督署に届け出る
  • 就業規則の周知実施について、事業主と労働者代表者の氏名等を記載した申立書を添付する
従業員10人未満でも就業規則は必要?小規模事業所の判断のカンドコロ

【STEP3】正社員への転換実施

転換する労働者は、以下の要件を満たす必要があります。

  • 正社員化前に6か月以上有期または無期雇用労働者として雇用されていること
  • 「正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則等」の適用を6か月以上受けていること(※)
  • 正社員として雇用することを前提として雇い入れられた者でないこと
  • 事業主または取締役の3親等以内の親族でないこと
  • 正社員化した日から定年までの期間が1年以上あること

正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則等とは?

以下のいずれか1つ以上で、正社員と非正規の間に規定上の差があればOKです:

  • 基本給の額や計算方法
  • 賞与の有無・算定方法
  • 退職金の有無
  • 各種手当の有無・額(通勤手当を除く)
  • 昇給幅の違い

正社員化後6か月間の賃金が、正社員化前6か月間の賃金より3%以上増額している必要があります。

計算に含める賃金は以下のとおりです。

  • 基本給
  • 定額で支給されている諸手当(就業規則等に規定があるもの)

特別手当などの名目で、就業規則(賃金規程)に規定がない手当が支給されていても、増額計算に含めることはできません。

以下は計算に含めることができません

  • 通勤手当などの実費弁償的なもの
  • 時間外手当など毎月変動するもの
  • 賞与

⚠️ 転換後の試用期間設定は避ける

正社員化後に試用期間を設けると、その期間は正社員転換後の期間として認められません。
そのため、賃金上昇要件の算定期間が変わり、申請が複雑になります。

項目試用期間なし試用期間2か月あり
正社員化日4月1日4月1日
正社員化完了日4月1日6月1日
賃金算定期間(転換後)4月~9月の6か月6月~11月の6か月
申請可能時期9月の賃金支払日翌日から2か月以内11月の賃金支払日翌日から2か月以内

【STEP4〜5】支給申請書類の準備と提出

正社員化後6か月分の賃金を支払った日の翌日から2か月以内に申請する必要があります。

この期間を過ぎると申請できなくなりますので、スケジュール管理を徹底しましょう。

支給申請には多くの書類が必要です。事前に準備を進めましょう。

①申請書類

書類名様式番号
キャリアアップ助成金支給申請書様式第3号
正社員化コース内訳様式第3号・別添様式1-1
正社員化コース対象労働者詳細様式第3号・別添様式1-2
支給要件確認申立書共通要領様式第1号
支払方法・受取人住所届※未登録または変更の場合

②添付書類

書類名主な確認事項
管轄労働局長に受理されたキャリアアップ計画書(写)正社員化の前日までに受理されているか
正社員化前後の就業規則または労働協約等(写)転換制度・賞与・退職金・昇給の規定が確認できるか
対象労働者の正社員化前後の雇用契約書または労働条件通知書等(写)雇用期間・労働条件が確認できるか
対象労働者が雇用された日付が分かる雇用契約書等(写)雇入れ日が確認できるか
対象労働者の正社員化前後の賃金台帳等(写)正社員化前6か月分・正社員化後6か月分
賃金台帳3%以上増額に係る計算書賃金上昇要件確認ツール等
対象労働者の出勤簿またはタイムカード等(写)賃金台帳で確認できない場合のみ

スタッフ数10人未満で就業規則を労働基準監督署に届け出いない場合は、申立書が必要となります。

該当条件必要書類
代理人が申請する場合委任状(原本)
中小企業であることを証明する場合事業所確認票(様式第4号)
母子家庭の母等の場合母子家庭の母または父子家庭の父を確認できる書類
人材開発支援助成金の訓練修了者の場合支給決定通知書(写)

重点支援対象者の場合は、第1期支給後にさらに6か月雇用を継続すると、第2期の申請が可能です。

第2期に必要な追加書類は以下のとおりです。

  • 対象労働者の第2期分の賃金台帳等(写)
  • 出勤簿またはタイムカード等(写)※賃金台帳で確認できない場合
  • 就業規則または労働協約等(写)※第2期に賃金改定があった場合

社労士が教える申請時のよくあるミスと対策

❌ よくある事例:正社員化を先に実施してしまい、計画書を後から提出しようとした

✅ 対策:正社員化の1か月以上前を目安に計画書を提出しましょう。不備があった場合の修正期間を確保できます。

❌ よくある事例:賞与を「業績による」としか規定していない

✅ 対策:「賞与は原則として支給する」など、支給することが明確にわかる規定にしましょう。

❌ よくある事例:時間外手当の増加で3%増えていると勘違いした

✅ 対策:厚生労働省の「賃金上昇要件確認ツール」を使って事前に計算しましょう。基本給と定額手当のみで3%増を達成する必要があります。

固定残業手当を導入している場合は特に注意が必要です。
固定残業手当の総額または時間相当数を減らしている場合は、固定残業手当を除いた場合と含んだ場合のどちらで計算しても、3%以上の増加が必要です。

固定残業代(みなし残業代)制度の正しい導入手順|歯科医院で失敗しない3つのポイント

❌ よくある事例:日々の業務に追われて申請期限を忘れていた

✅ 対策:正社員化日から8か月後の申請期限をカレンダーに登録しておきましょう。郵送の場合は到着日が期限内である必要があります。

❌ よくある事例:見やすくするために賃金台帳を別途作成した

✅ 対策:添付書類は必ず原本または原本の複写を提出しましょう。加工・転記した書類は不正受給とみなされる可能性があります。

電子申請のメリットと手順

  1. 利便性の向上:窓口に行く必要がなく、待ち時間もかかりません
  2. 負担の軽減:一度入力した情報を繰り返し使えます
  3. いつでも使える:窓口が閉まっている時間でも申請・確認ができます
  1. GビズIDプライムを取得(初回のみ・約3週間)
  2. 雇用関係助成金ポータルにログイン
  3. 事業所情報を入力
  4. 支払方法・受取人住所届を電子申請
  5. キャリアアップ計画を電子申請
  6. 計画受理後、取組を実施
  7. 6か月分の賃金支給後、支給申請

詳細は雇用関係助成金ポータルをご確認ください。

よくある質問

医療法人でもキャリアアップ助成金を利用できますか?

はい、利用できます。キャリアアップ助成金の対象となる事業主には、民間事業者のほか、医療法人や社会福祉法人なども含まれます。雇用保険適用事業所であることが条件です。

正社員化後すぐに賞与を支給する必要がありますか?

いいえ、必ずしもすぐに支給する必要はありません。就業規則に賞与制度が規定されていれば、「勤続1年以上経過した者より賞与を支給する」といった規定でも支給対象となり得ます。ただし、規定どおりに運用されていることが必要です。

短時間正社員への転換でも助成金は受けられますか?

はい、受けられます。短時間正社員は「多様な正社員」として助成金の対象になります。ただし、就業規則に短時間正社員の雇用区分・労働条件・転換制度を規定している必要があります。

また、通常の正社員と同じ待遇(賞与または退職金制度、昇給)が適用されている必要があります。

賞与額や昇給額を勤務時間数に応じて案分することは差し支えありません。

申請を社労士に依頼した場合、費用はどのくらいかかりますか?

社労士事務所によって異なりますが、一般的には受給額の10〜20%程度が相場です。就業規則の作成・変更を含む場合は別途費用がかかることがあります。当事務所では初回相談無料で、詳細なお見積もりをお出ししています。

他の助成金との併用はできますか?

同一の取組に対して複数の助成金を受けることは原則できませんが、異なる取組であれば併用可能な場合があります。

例えば、人材開発支援助成金で訓練を修了した後にキャリアアップ助成金で正社員化する場合は、両方の助成金を受けられます。

詳細は厚生労働省のホームページ(キャリアアップ助成金)で併給調整を確認してください。

まとめ:キャリアアップ助成金で働きたくなる歯科医院へ

本記事では、キャリアアップ助成金(正社員化コース)2025年度版について詳しく解説しました。

重要ポイントのおさらい

  • 2025年度から「重点支援対象者」区分が新設され、最大80万円を受給可能
  • キャリアアップ計画書は正社員化の前日までに必ず提出
  • 就業規則に転換制度・賞与・退職金・昇給の規定が必要
  • 正社員化後6か月の賃金が3%以上増額していることが要件
  • 支給申請期限(賃金支払日翌日から2か月以内)を厳守

歯科医院の院長先生が、ご自身もスタッフも働きたくなる組織づくりを実現するため、ぜひキャリアアップ助成金を活用してみてください。

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ABOUT US
社会保険労務士×生成AI活用アドバイザー 小西朋安
小西 朋安社会保険労務士×生成AI活用アドバイザー
社労士歴19年で、元プログラマーの異色キャリア。 わかりやすい就業規則の作成・経営理念の策定・浸透支援など、職場のあり方づくりに長年取り組んでいる。 近年は、GPTsを活用した求人原稿作成ツールや業務支援AIを自ら開発し、飲食店、美容室、歯科医院などの生成AI活用を積極的に支援している。